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化粧品の越境ECは意外と簡単?企業事例と成功のコツ
2023.06.29
日本の化粧品は海外でも人気があり、越境ECに向いています。品質、安全性、ブランドイメージなどの評価が高いため、海外市場でも信頼されやすい傾向があるからです。
実際に、国内のドラッグストアなどで化粧品の爆買いをしているインバウンド観光客を見かけたことがある人も多いのではないでしょうか?
本記事では、実際に越境ECを使い海外進出に成功した企業事例を交えながら、化粧品における越境ECの成功のコツをご紹介していきます。
東南アジア・台湾で最大規模の越境ECプラットフォームShopeeの消費者トレンド分析によると、2023年第一四半期の日本越境商品の人気カテゴリー1位は「美容品・化粧品」でした。
これは、Shopeeが展開している東南アジア・台湾の国々で販売された日本商品のうち、美容品・化粧品がもっとも人気が高かったことを示しています。
2023年第1四半期の日本越境商品の人気カテゴリーは、昨年の同時期と似た傾向が続いています。「美容品・化粧品」「ヘルスケア」「食品・飲料」のカテゴリー商品が東南アジア・台湾で人気が高いことがわかります。
2023年に入ってから東南アジアと台湾の外出規制がさらに緩和されたため、外出に関連してレディースファッションやスポーツ・アウトドア関連商品の勢いも増しています。外出や遠出をする人が増えているという傾向を踏まえ、今後は外出時に必要な化粧品のニーズも高まっていくだろうと予想されます。
次に、Shopeeの同リサーチによる2023年第1四半期の売れ筋商品です。
カテゴリTOP3となった「美容品・化粧品」「ヘルスケア」「食品・飲料」の売れ筋商品第1位は以下の結果となりました:
これらの人気商品はいずれも日常的に使われるものです。売れ筋商品の傾向から、東南アジアや台湾において日本商品はすでに日常生活の一部になっていることが読み解けます。
日本商品への親しみのある東南アジア・台湾では、今後もさらに現地の消費者ニーズを掘り起こせる可能性があると感じられるでしょう。
このように、化粧品が越境ECの人気カテゴリーであることや現地の日常生活に日本商品が浸透しているといった背景から、化粧品の新たな展開先として越境ECが注目されています。
現金主義だったり、ECでの買い物を躊躇する保守的な人もまだ多い日本と比べ、海外市場では電子決済が広く浸透し、ECでの買い物に比較的オープンマインドな傾向にあります。つまり、海外ではECで買い物をする頻度や購入金額も高い傾向にあるということです。
しかし、実際に海外に販売するといっても国によって消費者のニーズもバラバラです。化粧品で越境ECに進出するならどんな国をターゲットにすればよいのでしょうか?
越境ECと相性の良い販売先の国を考える際、参考になるのが日本へのインバウンド観光客です。というのも、旅行中に日本製品を購入したインバウンド観光客が、帰国後に越境ECを通じてリピート購入する傾向が強いと言われているからです。
これまでインバウンド観光客といえば、中国からの観光客といった印象が圧倒的でした。しかし、最近では経済が成長し国民所得が増えているタイ、マレーシアやベトナムなど東南アジアの国々からの来日も増えています。
どの国へ進出すればよいか迷った際には、インバウンド観光客がどこから来ているか、そしてどんな商品を購入しているかを分析するとよいでしょう。それらの国々では、現地でも同じ商品を買ってくれる可能性が高いといえます。
輸出市場先として、中国市場の規模は圧倒的です。人口も多く、購入の勢いもあります。中国市場で成功した企業などのストーリーを耳にした人も多いのではないでしょうか?
その反面デメリットもあり、中国市場は不安定でもあります。コロナ禍などに見られるように、中国政府の政策が急に変わり、それに応じて購買傾向も急スピードで変化するため、今まで売れていたものがパタリと売れなくなってしまうことなどがあるのです。インバウンド観光客で混み合っていた銀座や心斎橋などの商店街が、政策変更により急に閑古鳥となったのもわかりやすい例のひとつです。
中国以外にもポテンシャルの高い越境EC市場として、今注目されているのが東南アジアです。フィリピン、マレーシア、タイやベトナムなどの国々では日本の高度経済成長期と同様の勢いで経済成長しており、それに伴い個人の購買力も高まっています。さらに、自国に産業が少ない小国のシンガポールでは国民のほとんどが越境ECに慣れており、高所得の日本駐在員なども多く生活しています。
東南アジアの市場規模は中国ほどではありません。しかし、日本商品との相性の良さや堅調な成長傾向などを踏まえると越境EC進出先として注目したい市場だといえるでしょう。
それでは、ここからは実際に化粧品の越境EC進出で成功している日本企業の事例をご紹介していきます。
株式会社 G.O ホールディングス
大阪に本社を構え、「Null」や 「Nalc」などのコスメブランドを展開している株式会社G.Oホールディングス(以下:G.Oホールディングス)。男性も使えるユニセックス化粧品ブランドとしての先駆けでもあります。
「ブームではなく、”効きそうな”ではなく…使用することで着実に美に近づいていく“実力のある化粧品”」をテーマに、女性も男性も年齢も関係なく、あらゆる人が使える化粧品の製造、販売を行っています。現在は日本からの越境ECを通してShopee シンガポールとShopee 台湾へ出店されています。
海外展開というと色々な手間や時間がかかりそうなイメージがありますが、「スピーディーにできた」「簡単だった」という声も多い越境ECでの展開。
G.Oホールディングスも例外ではなく、本来であれば3ヶ月から半年かかるようなところ、「気づけば1週間ほどで出店していた」とのこと。
その理由は越境ECプラットフォームShopeeです。自社サイトをゼロから構築すれば、サイトの多言語化だけでなく、その後のマーケティング施策などにも手間がかかってしまいます。しかしShopeeのような越境ECプラットフォームを使えば、たった1週間でも出店が可能になりました。
G.Oホールディングスでは、肌質や年齢・性別を越えて、敏感肌にも使えるような高性能な化粧品を展開しています。特定の女性層に限らないこのようなボーダレスな商品展開が、海外市場のニーズにもマッチしているようです。
特に女性向け化粧品において、国内市場は成熟し、あらゆるブランドで飽和しています。こうした状況のなかで海外に目を向け、さらに年齢や性別のボーダーを外したことでG.Oホールディングスはチャンスを掴んだと言えるでしょう。
次に、G.Oホールディングスが越境ECで成功したカギとなるのは「お客様サポート」でした。それは商品を購入する消費者に向けたものだけでなく、越境ECを運営する出店者へのサポートも含まれます。
消費者の質問に答えて、購入率アップ
直接肌に触れる化粧品は、「自分に合うだろうか……?」と不安に感じる消費者も多いもの。
逆に、購入前に生じる消費者の疑問に丁寧に答えることで、購入率をアップさせることもできます。
実際にG.Oホールディングスでは、越境EC出品後に届いた消費者からの質問には丁寧に回答。質問内容は「成分」や「肌に合うか」といった化粧品そのものへの疑問だけでなく「配送日数」など物流に関する問い合わせも含まれます。
こうしたやり取りを真摯に行うことで、化粧品ブランドに対する消費者からの信頼が高まり、「検討段階」から「実際の購入」につながりやすくなります。
越境ECプラットフォームからの手厚いサポートで疑問を解決
越境ECで疑問が生じるのは消費者だけではありません。出店者側も、日々の運営で疑問や悩みが生じるものです。特に初めての越境ECでは、色々な迷いや悩みが生じがち。そんな時はノウハウ豊富なプラットフォーム側のサポートを活用すれば、成功への近道となります。
G.Oホールディングスが出店しているShopeeでは、手厚いサポート体制も大きな特徴のひとつです。出店すると担当者がつくので、定期的なやり取りが可能になります。G.Oホールディングスでは「距離感が近い連絡ができるので、親身に相談に乗ってもらっている」といいます。
スピード感がますます早くなっている昨今のEC運営の現場では、生じた疑問や問題はそのままにせず、情報収集や相談を早めに行い、スピーディーに解決していくことが売上に直結していきます。そのためには、他社の成功ノウハウを参考にしたり、必要に応じてセミナーや担当者への相談で迅速に解決することがおすすめです。
越境ECを始めたばかりの化粧品ブランドがまず悩みがちなのが、現地での認知度の低さ。こうした悩みの解決の糸口となるのは、大型セールです。
大型セールの時期には、これまで手に取ったことのない化粧品も試してみようと消費者の購入ハードルが下がります。セール時期は購買意欲も高まっていることから、上手に施策を行えば、大きな売上アップも実現できるのです。
G.Oホールディングスでも、Shopeeで行われているゾロ目の日の大型セールに参加。参加するごとに売上が伸びていることを実感したそうです。大型セールだけでなく、これをきっかけにリピート客を掴めば日々の売上の底上げにもつながるでしょう。
このように現地ではまだ知名度の低い化粧品ブランドにも、越境ECには色々なチャンスがあります。
そして、2023年度の大型セールもあと数ヶ月後に迫っていています。1年の中でも下半期は、消費者の購買意欲を刺激する大型セールが目白押し。こうしたビジネスチャンスをしっかりと掴んで、越境ECの運営を軌道に乗せたいものです。
越境ECにおける販売までのハードルが低く、「いつの間にか出品していた」「簡単に海外に参入でき、ワクワクしている」というG.Oホールディングス。
こうした声からもわかるように、海外展開のハードルは年々低くなってきています。
越境ECにおいて、人気の商品カテゴリーである化粧品。国内市場を見ていただけでは頭打ちとなりそうな今後の売上も、越境ECを使えばもっとビジネスを成長させることができるかもしれません。
そんな時に気になるのが、販売に利用するプラットフォーム。自社サイトでも海外にリーチさせることはできるのですが、ゼロからの構築はやはり手間や時間がかかってしまうもの。
短期間で結果を出したいなら、化粧品販売と相性の良い越境ECプラットフォームを選ぶことも大切です。前の章で挙げたように、Shopeeは消費者とのコミュニケーションがしやすいという点が強みです。
化粧品のように、購入前に様々な疑問が沸きがちで、それらが解決されるかどうかで購入率が変化するような分野の商品は、消費者と密に連絡がしやすいプラットフォームを選ぶとよいでしょう。良質なコミュニケーションが、高いエンゲージメントにつながっていきます。
越境ECと聞くと難しそうなイメージを抱きがち。しかし、実際に化粧品の越境EC販売で成功している企業からは「いつの間にか出品していた」「簡単に海外に参入できて、ワクワクしている」という声があったように、適切なプラットフォームと市場を選べばそこまで構えなくても実現できてしまうのかもしれません。
越境ECの市場規模は年々拡大しており、店舗を構えない越境ECなら大きな投資をせずとも始められます。新規ビジネスとしては、低コスト・低リスクで始められると言っても良いでしょう。
化粧品の海外販売において、輸出入に関する法規制や関税などの知識は必要となりますが、それ以上に今後も期待できる大きなビジネスチャンスがあります。国内市場での販売に壁を感じたら、越境ECを活用してボーダレスな海外展開にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
現在成長中の海外市場なら、東南アジア。G.Oホールディングスが実際に利用している、東南アジア圏でシェアNo.1の越境ECプラットフォームShopeeなら短期間・低コストでの海外参入も夢ではないでしょう。
この記事を書いた人
Natsuko Sakurai
2拠点生活フリーランス。ロンドン、オランダ、スペイン 3ヵ国での在住や現地企業での勤務経験があり、帰国後も海外ビジネスに関わり続けています。コロナ禍をきっかけに、海外にしかオフィスのない現地企業との国際リモートワークが始まったりと、たえず働き方は進化中。