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越境ECを行う上でかかる税金とは?知っておくべき各国の関税のこと
2022.04.11
越境ECを行う上でかかる税金として関税があります。越境ECを始める場合や、対象とする国を広げる場合に、各国の関税がどのくらいかかるのか気になる方が多いのではないでしょうか?
本記事では、越境ECを始める際にかかる税金として、関税や消費税についてご紹介します。
越境ECを行うにあたり、必須の知識でもある関税についてご紹介します。
関税とは、海外から物品を輸入する際にかかる税金です。関税を設けている理由は、自国の国内産業の保護を目的としているためです。例えば、海外から大量に安い輸入品が入ってきた場合に、国内の製品が売れなくなることがあります。
二国間や多国間そして地域間において状況や情勢の違いにより関税の変動があります。あらかじめ越境ECを行う際に、関税率を確認しておくようにしましょう。
越境ECにおいて、関税とは購入する人が商品を国外から輸入する際に納める税金です。そのため、関税がかかることをECサイト内に明記しておく必要があります。もし明記していなければ、クレームの原因や、返品、受取拒否などの事態になるため注意が必要です。
ECサイトに明記する際に各商品の関税見込み額を加えて金額を表示するとよいでしょう。詳しくは各ECサイトのルールを確認しましょう。
東南アジアに向けて越境ECを行う場合、各国によって関税が異なるため、ここでは一例としてシンガポールとインドネシア、マレーシアの関税についてご紹介します。
シンガポールの関税は、「一般関税」と「特恵関税」の2種に分類されます。一般関税とは、その国で定めた輸出や輸入する際にかかる税のことです。また特恵関税は、国と国の二国間や、国と対象地域間などの複数国間で、輸入や輸出する際の税率をお互いの国で引き下げることをいいます。
一般関税の対象となるのはビールなどのアルコールのみで、原則無税です。特恵関税は、シンガポールとFTA(自由貿易協定)などを締結している国々が受けられるものの、一般関税がビールなどのアルコールを除いて原則無税のため、特恵関税のメリットが少ないといえます。
またシンガポール国内で消費する場合にかかる税として「物品税」といったものがあります。輸入品にも課税されるため関税はほぼ無税ですが、物品税がかかることを覚えておきましょう。
インドネシアの関税の体系として、「一般税率」、「CEPT(ASEAN共通効果特恵関税)税率」、「FTAの適用税率」、「GSP(一般特恵関税制度)税率」、「GSTP(世界的貿易特恵関税制度)税率」の5種に分類されます。
日本とインドネシアの場合、JIEPA(日本インドネシア経済連携協定)とAJCEP(ASEAN日本包括的経済連携)を締結していることから、その2つを利用することで関税が減免または免税となっています。
とくにJIEPAの特定用途免税制度(USDFS)を利用することで、自動車、電気電子、重機・建機、エネルギーなどの特定用途に使うものの関税が免税になります。
マレーシアの関税の体系として、「一般税率」、「FTAやEPA(経済連携協定)の適用税率」になります。品目の大部分に対して、取引価格を基準にした従価税が課せられ、税率の範囲は0〜60%です。一部の品目は、商品の数量を基準にした従量税が課せられます。
日本とマレーシアの場合、JMEPA(日本マレーシア経済連携協定)とAJCEP(ASEAN日本包括的経済連携)を締結しているため、その2つの協定を利用することで関税が減免または免税になります。
アメリカに向けて越境ECを行う場合、通常の輸出取引と同じ関税が適用されます。
アメリカの貿易相手国は、ほとんどの国で正常貿易関係(NTR:Normal Trade Relations)として扱われ、最恵国待遇と同等のものです。NTR諸国からアメリカに輸出する場合、同じ関税率が適用されます。
アメリカの関税の体系として、「一般税率」、「特別税率」、「法定税率」の3種に分類されます。
名称 | 内容 |
一般税率 | NTR諸国向けの税率
日本も一般税率に分類される |
特別税率 | FTAなどを締結している国向けに特恵措置が適用された税率
日米貿易協定が対象とする品目は、特別税率が適用される 特定の開発途上国へのGSPなど |
法定税率 | キューバと北朝鮮向けの税率
元々は共産主義諸国向けの税率だったものが現在では2ヵ国のみ |
関税の種類には、品目によって従価税や、従量税、両方を合わせた併用税が定められており、輸入量と輸入価格(FOB価格)を基準に税率が設定されています。
輸入価格はドル以外の外国通貨建てのものの場合、四半期ごとに発表される公定換算レートを使用して価格が決まります。
アメリカの関税率を調べるには、アメリカ国際貿易委員会のサイトに商品を分類ごとに分けたHTSコードがあります。HTSコードは次のサイトで確認が可能です。
HTSコード一覧
https://hts.usitc.gov/current
例えばchapter9にコーヒーなどがあります。
「09011100」はカフェイン入りのコーヒーです。
上記HTSコードで必要な商品コードを調べたら、以下のサイトで関税率を検索できます。
USITC(アメリカ関税率表)
https://dataweb.usitc.gov/tariff/database
先程の「09011100」を検索すると該当の商品が出てきます。さらに内容を見ると「MFN Text Rate」という部分があり「Free」とあります。つまり関税がかからないという意味です。
中国向け越境ECを行う場合にかかる関税は、大分類として「行郵(ぎょうゆう)税」と「越境EC総合税」の2種類です。中国の関税の体系として、「最恵国税率」、「暫定税率」、「協定税率」、「特恵税率」、「普通税率」の5種類に分類されます。内容は次のとおりです。
名称 | 内容 |
最恵国税率 | WTO(世界貿易機関)の加盟国や、中国と関税の互恵協定を締結している国からの輸入品に適用される税率 |
暫定税率 | 最恵国税率が適用される国や地域の輸入品を対象に、暫定的に設定された税率のことで、燃料油などの749税目の輸入商品に適用される税率 |
協定税率 | 中国と特定の国や地域との貿易や、関税優遇協定に基づいて設定された税率 |
特恵税率 | 中国と特殊な関税優遇協定を締結している国や地域に適用されるもので、最恵国税率よりも優遇される特別措置のこと。主に発展途上国などが対象 |
普通税率 | 上記の「最恵国税率」、「暫定税率」、「協定税率」、「特恵税率」に当てはまらない国や地域に適用される税率 |
行郵税は、個人利用を目的とした荷物を送る場合にかかる税金です。日本からEMSなどの国際宅急便を利用して、直接中国の消費者に配送する際の「輸入時」に行郵税を納付します。輸入禁止品目以外はすべて次の税率に分類されます。
税率 | 主な対象商品 |
13% | パソコンやデジタルカメラなどのIT機器、食品、飲料、家具、おもちゃ、ゲーム、薬品、書籍や新聞など |
20% | スポーツ用品(ゴルフ用品を除く)、釣り用具、洋服、テレビカメラやその他の電気機器、自転車など |
50% | たばこ、お酒、宝石、ゴルフ用品、高級腕時計、高級化粧品など |
行郵税が課せられるのは、個人利用目的となるため個人名義で直接日本から中国に配送した場合です。1注文あたり1,000元までで、もし価格が1,000元を超えるものの、商品を分割して価格設定ができない商品の場合には、5,000元までとなります。行郵税額が50元以下の場合は免税です。
実際に人民元を円に換算して計算をしてみます。
(2022年3月28日時点、1人民元=19.36円)
・1注文あたりの上限額
1注文:1万9,360円
分割不可の場合:9万6,800円
・行郵税額50元以下の免税額
おもちゃを購入したとして税率が13%です。
1注文:380元(約7,357円)
行郵税額:380元×13%=49.4元(約956円)
49.4元が免税となります。
ただし50元(968円)を超える場合、全額が徴収されるため注意が必要です。
越境EC総合税は、企業が中国保税倉庫を利用して荷物を送る場合にかかる税金です。行郵税と比べると、税金が安いものの利用条件が厳しい特徴があります。主な対象商品はポジティブリスト(例外的に許されるものだけの一覧)とされているため限定されます。
税率 | 主な対象商品 |
9.1% | 食品、化粧品、電気機器、洋服、おもちゃなど |
17.9% | ワイン・スパークリングワイン、宝石、ゴルフボールなど |
23.1% | 香水、高級化粧品など |
1注文あたり5,000元以下で、年間2万6,000元以下と上限額が決められています。上限額以内であれば、関税0%、輸入増値税率と消費税率を適応した課税対象額70%が越境EC総合税として課税されます。
越境ECを行う上で日本国内の消費税は免税されます。ここでは輸出免税や、消費税を払った場合でも還付される方法をご紹介します。
消費税は、日本国内の商品の販売やサービスなどの取引に対して課税される税金です。販売が輸出取引になる場合、消費税が免除されます。これを輸出免税といいます。
免税される輸出取引の例をあげると次のようになります。
以上の免税を受けるには取引が輸出取引などであることの証明が必要です。輸出取引などの種類に応じて輸出許可証を7年間保存しなければなりません。
越境ECでは、本来消費税を支払う必要がありません。もし消費税を払った場合、販売する商品の仕入れや発送などにかかった消費税の還付を税務署を通して受けることが可能です。
ただし、消費税の還付を受けるにあたり、一定の条件を満たした上で、必要書類の準備をそろえる必要があります。
消費税課税事業者でなければなりません。消費税課税事業者は、年間課税売上高が1,000万円を超えている事業者のことをいいます。消費税免税事業者や年間課税売上高が1,000万円以下の場合、還付は受けられないため注意しましょう。
原則課税方式は、売上に含まれる消費税から、経費などに含まれる消費税を差し引いた金額を収める方法です。消費税の計算方法には、2種類あり、簡易課税方式では消費税の還付は受けられないため注意しましょう。
還付申請にあたり、所轄する地域の税務署長に申請書類を提出します。申請のタイミングは、法人の場合、課税期間の末日の翌日から2カ月以内、個人事業者の場合であれば、課税期間の翌年3月末日までになります。
必要書類は、課税期間に対応する確定申告書、仕入控除税額に関する明細書、課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算書、輸出許可書などです。
Shopee(ショッピー)は2015年にシンガポールで設立され、東南アジアや台湾で急成長している越境ECプラットフォームです。現在は、シンガポールを始め、マレーシア、タイ、台湾、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ブラジル、メキシコを含む14地域で独立したマーケットプレイスを展開しています。
Shopeeでは日本語対応が可能なスタッフや、英語、中国語などにも対応したスタッフが在籍しているため、越境ECを運営していて、疑問点などがあればいつでも質問できる体制が整っています。また配送サポートや、幅広い媒体で広告運用が行える点もShopeeの魅力的なポイントです。
現在の料金は初期費用や維持費用が無料です。出店継続に固定費がかからないため、個人からでも気軽に出店ができます。充実のサポート体制や、初めての方でも安心して越境ECがスタートできるShopeeを活用してみてはいかがでしょうか?
ここまで「越境ECと税金」といったテーマで各国でかかる関税や、日本の消費税のことをご紹介してきました。越境ECを始めるにあたり、どこの国にターゲットを置くかで関税に対してのアプローチ方法が異なります。そのため輸出先の関税は事前に調べておくようにしましょう。
また越境ECを行っている国の情勢や関連条約などのニュースは常にアンテナを張っておくようにすると、突然政変などが起きたとしても対応できるようになります。
これから越境ECを始めてみたいという方は、初期費用や維持費用が無料のShopeeがおすすめです。
この記事を書いた人
古田靖昭(ふるたやすあき)
お金に関する内容を専門にしているWEBライターです。普段は生命保険や社会保険制度、相続、M&Aなどの記事、その他の記事として建築や不動産、歴史、ニュースなど多岐にわたってライティングしています。趣味は読書です。