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【越境ECで人気の食品とは?】食品販売時のポイントについても解説
2023.05.18
日本の食品は海外でも高い人気を誇っています。しかし、具体的にどのような食品が海外で人気があるのか、ボンヤリとしたイメージだけを持っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では、越境ECで人気の食品について解説していきます。
越境ECで食品を販売する際の注意点についても合わせて解説しておりますので、越境ECで食品の販売を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
「平成29年度 日本からの電子商取引(EC)を用いた農林水産物・食品の輸出に関する調査」によると、越境ECを使用した日本の食品に関する市場規模(図表1)は、1,574億円でした。特に輸出が多かったのが、菓子や調味料、緑茶、健康食品です。これらの食品は賞味期限が長く、サイズもコンパクトのため、海外販売に向いています。反対に、輸出額が小さかった穀物等や生鮮品は、賞味期限が短く、輸送時にかさばるため、海外販売には向いておりません。
図表1 越境ECを使用した日本の食品に関する市場規模
以下の図表2は、アジア大平洋州、中東、北米・中南米、欧州、アフリカの地域ごとに対する食品輸出の市場規模を表しています。図表から見て分かるように、アジア大平洋州が最も市場規模が大きく、全体の82%(1,299.8億円)を占めています。この背景には、中国の圧倒的なマーケット規模があります。また、近年は、東南アジアのEC市場規模が拡大傾向にあります。2019年には、東南アジアのEC市場規模は1兆円を超えており、2025年には、市場規模が3兆円を超えるという予測もあります。このように、現状の市場の大きさと今後の市場の伸びを見てもアジア大平洋州の消費者へ向けて商品を販売するのが、今からでもおすすめです。
図表2:地域別の市場規模(単位:億円)
引用:日本からの電子商取引(EC)を用いた 農林水産物・食品の輸出に関する調査
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_enkatu/attach/pdf/index-1.pdf
日本の食品は外国でも高い人気を誇ります。特に「お菓子」「緑茶」「日本酒」は外国人から高い評価を得ています。本項目では、外国人に人気がある日本食品について詳しく解説していきます。
「キットカット」や「東京バナナ」「果汁グミ」「白い恋人」「宇治抹茶生チョコレート」などの日本のお菓子が海外で人気です。特に、「東京バナナ」や「白い恋人」のように日本の地域限定商品は外国人から高い人気を誇ります。また、「宇治抹茶生チョコレート」のように、和を感じられるお菓子を喜ぶ外国人は多いです。
グラフ1:緑茶の輸出実績(世界)からも分かるように、緑茶の輸出額は右肩上がりで増加しており、R3年には過去最高の204億円を達成しました。この背景には、健康的でヘルシーな日本食への世界的な注目が関係しています。
グラフ1:緑茶の輸出実績(世界)
引用:(農林水産省)https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2204/spe1_04.html#main_content
「八海山」や「月桂冠」「久保田」「男山」などの日本酒が外国人に人気です。日本酒が海外で人気になったのも和食文化の世界的な注目が関係しています。日本酒の輸出額は、アメリカや中国などの人口が多い国の他に、香港や台湾、シンガポールなどのアジアの国でも高い輸出量を誇っています。
食品は、他の輸出品と比較して基準が厳しいのが特徴です。なぜなら、食品は直接口から体内に取り入れる物であり、健康的被害や精神的被害が大きく出る物だからです。そのため、食品に関する様々な基準が設けられています。本項目では、食品に関する国際的な基準である「CODEX」「HACCP」「FDA」について解説していきます。
CODEXとは、1963年にFAO(国際連合食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)によって設立された国際的な政府機関です。日本は、1963年から加盟しています。CODEXの目的は、消費者の健康保護や食品の公正な貿易の確保です。そのために、CODEXでは、米や野菜、肉、魚、果物など200品目を超える食品規格の定義づけを行っています。CODEXを守ることで、ECなどで食品を国同士でやり取りする際でも、安全に公正な取引が行えるようになります。
HACCPは、アメリカのアポロ計画で宇宙食の安全性を確かめるために考案された衛生管理法で、今では国際的な衛生管理法として使用されています。HACCPの意味としては、Hazard(危害)、Analysis(分析)、Critical(重要)、Control(管理)、Point(点)の頭文字を取ってHACCPと呼ばれています。HACCPの導入により、食品が消費者に渡る前に食品事故を未然に防げる可能性が高まります。日本では、2021年6月からHACCPの導入・運用が完全に義務化されました。HACCPを破ると、「3年以下の懲役、または300万円以下の罰金」が課せられることがあります。
FDAとは、「Food and Drug Administration」の略で、日本語では「アメリカ食品医薬品局」と呼ばれます。食品、医療品、医療機器、化粧品などがFDAの対象となります。日本からアメリカにFDA対象の商品を輸出し、アメリカで販売する際は、FDA認証を取得する必要があります。もし仮に、FDA認証を取得しないままFDA対象商品をアメリカに輸出・販売した場合、製品の差し押さえや懲役などのペナルティが課せられる可能性があります。また、食品、医療品、医療機器、化粧品など商品によって、申請方法や申請書類が異なるため、注意が必要です。
越境ECでの取り扱いやすさは、以下の4要素で決定します。
1:重量の軽重
2:体積の大小
3:温度/鮮度管理の必要性の有無
4:賞味期限の長短
順番に解説していきます。
1つ目の要素は、重量の軽重です。当然軽い食品の方が、重い食品よりも運搬のしやすさの観点から輸出しやすい傾向にあります。
2つ目の要素は、体積の大小です。体積の小さい食品の方が、一度にたくさんの量を輸送できるため、海外販売に向いています。特に、お菓子や緑茶などは、体積が小さくかつ外国人に人気のため、輸出向きの食品です。
3つ目の要素は、温度/鮮度管理の必要性の有無です。温度や鮮度管理が必要な食品は、冷凍輸送やスピード輸送など配送方法が限られます。そのため、肉や魚、野菜などの温度・鮮度管理が必要な食品は海外販売向きではありません。
4つ目の要素は、賞味期限の長短です。一般的に、お菓子や調味料などの加工食品は、賞味期限が長めに設定されています。一方で、お肉や魚、野菜、果物などの生鮮品は、賞味期限が短めに設定されています。そのため、加工食品の方が生鮮品よりも海外販売向けです。
越境ECで食品を販売する際には、国内の消費者に向けて販売する場合と異なり、いくつか注意すべき点があります。本項目では、越境ECで食品を販売する際の注意点を3点解説します。
1点目は、販売戦略です。越境ECで食品を販売する際は、販売戦略が非常に重要です。販売戦略がない状態で、海外販売をスタートすると他ショップとの価格競争に巻き込まれたり、仕入れた食品の賞味期限を切らしてしまう可能性があります。特に、お菓子などの人気食品は、価格競争に巻き込まれやすいため、他ショップがまだ販売していない商品で売れる見込みのある商品をリサーチしたり、販売ルートの開拓への挑戦をおすすめします。
2点目は、販売国の法律や制度を守ることです。食品の販売は、国や地域によって法律や制度が異なります。特に、原産国や期限表示などの食品の表記については要注意です。販売ライセンスを取得し、商品のラベルに記載する必要がある場合があります。
3点目は、輸出規制品について調べておくことです。日本で販売が許可されている食品であっても、国によっては、輸出・販売が禁止されている場合があります。具体的には、アメリカやカナダ、EU、香港、台湾などでは、肥満や心筋梗塞の可能性を高める原因になるという理由で、トランス脂肪酸の輸入を禁止、または制限しています。トランス脂肪酸は、ケーキやお菓子、パンなどに含まれています。また、フランスでは、2020年からホワイトチョコレートに使用されている二酸化チタンが発がんの促進作用のようなものがあるとして使用が禁止されています。このように、国や地域によって、取り扱いが許可されているかが異なるため、事前に販売国の輸出規制品について調べておく必要があります。
本記事では、越境ECにおける食品販売について解説しました。越境ECは、市場規模の成長率から見てもまだまだ盛り上がりを見せる予想です。これから越境ECで食品販売を行う予定の方は、ぜひ参考にしてください。
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この記事を書いた人
慈雨(じう)
IT、ファション、ECサイト関連の記事をメインに執筆しています。
「シュークリームとスニーカーが好きな20代男子です。」