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【2022年】国内&海外ECモールの人気ランキングと最新動向
2022.11.28
デジタル化が進み、成長が続くEC市場。EC販売においてECモールは欠かせない存在ですが、その現状や展望は刻々と変化しています。
本記事では、国内・海外市場ともに最新の動向を多角的に分析し、ECモールをランキング形式でご紹介します。
さらに「日本から出品できる」という観点から、主要な海外ECモールをピックアップ。今、勢いのある市場や各国における最新の動向とともに解説していきます。
国内の主要なECモールについて、流通総額を中心に分析していきます。国内ECモール市場はコロナ禍で急激に成長期を迎えましたが、現在も堅調にプラス成長を続けています。
しかし成長率に着目すると、ほぼ全てのサービスで2021年は前年より伸び率は大きくありませんでした。これは、コロナ禍で急加速したデジタルシフトの流れがひと段落したと言えるでしょう。
各社のEC進出が進んだことで、上位のECモールは強い存在感を示しているものの、同時に競争も熾烈になってきています。
それでは、国内の主要ECモールの流通総額からランキング形式で詳細をみていきます。流通総額を公表している企業が多いものの、一部公表されていないサービスについては推測から流通規模を割り出しています。
上位にランクしているECモールは、単なる物販だけでなく、トラベルやデリバリーなどのさまざまなサービスをEC上で提供していることが特徴です。また、2次流通についても見逃せない市場規模と勢いになっていることがうかがえます。
米Amazon.comが公開している年次報告書によると、日本国内における2021年の売上高は230億7,100万ドルでした。(2021年の平均為替レート109.8円を適用すると、2兆5,332億円相当)。Amazonではマーケットプレイスからの売上も大きな割合を占めます。公開されている売上にマーケットプレイスなどの非公開売上を加味すると、日本国内でのEC流通トップはAmazonだと推測されます。
楽天市場の投資家向け発表によれば、国内ECにおける2021年の流通総額は5兆118億円。この総額は楽天トラベル、楽天24、楽天デリバリー、ラクマなどの楽天が擁する多方面のEC事業による売上も含みます。
Yahooショッピングを運営するZホールディングス株式会社の決算説明会資料によると、2021年におけるYahoo!ショッピング関連事業の流通総額は1兆6,525億円。2021年3月にLINEと経営統合したため、この流通総額にはPayPayモール、ZOZOTOWN、LOHACO、LINEショッピング、LINEギフトからの売上も含まれます。
また、ヤフオク!の国内流通総額は9,168億円でした。この流通総額にはヤフオク!に加えて、PayPayフリマ、ZOZOUSEDといった2次流通サービスも含まれます。
Yahooショッピング(1兆6,525億円)とヤフオク!(9,168億円)を合算した国内の流通総額は2兆5,693億円となりました。
メルカリの決算説明資料によると、2021年の国内における流通総額は8,470億円でした。なお、2020年の流通総額 7,121億円と比較すると、前年比18.9%増となります。成長率がスローダウンしてきた市場傾向の中で、2次流通市場はまだ伸びしろがあると言えそうです。
国内EC市場における競争が激化しているため、新規での国内EC参入はますます難易度が高くなっています。
こうした市場で生き残るためには、商品やブランドの力だけでなく、WebマーケティングやSNS運用などの総合力がますます必要となってくるでしょう。
一方で、海外に目を向ければ、伸びしろの大きなマーケットもまだ多く残されています。
ここでは海外ECモールについて幅広い視点から分析し、最新のマーケット情報とともにご紹介していきます。
越境ECとインバウンドに親和性があることをご存知でしょうか?
観光庁などの調査でも、日本への旅行から帰国後、60〜70%の人が日本のものを購入しているというデータがあります。インバウンド客が帰国した後に、越境ECによる購買活動が活発になるのです。
2022年10月に海外からの入国制限が大幅に緩和され、さらに円安も相まって、日本へのインバウンドは急速に回復に向かっています。
こうしたチャンスを最大限に活かすには、インバウンドのピークが過ぎる前に越境ECサイトの準備をしておいた方が良いでしょう。
日本から海外へ向けて出品できる越境ECモールは、まだ数が限られているのが現状です。
ここでは、日本から出品可能な海外ECモールのおすすめランキングをご紹介していきます。
本記事ではマーケットシェアに加え、展開している国の数や付帯サービスも踏まえて、海外の主要ECモールを総合的に分析。おすすめの海外ECモールをランキング形式でご紹介していきます。
アメリカEC市場におけるシェア率が48%を占めるAmazonは、言わずと知れた超巨大ECモール。アメリカへ向けた越境ECにおいて、外すことのできない存在です。出店は比較的容易なので、さまざまなタイプのセラーが進出しています。
Amazonでは、価格や配送スピードを重視するユーザーが多いことや、購入後の返品も容易であることは頭に入れておいた方が良いでしょう。
バイヤー数1億3500万人を誇るebayは、190カ国という広範囲な展開国が強みです。バイヤーの数が限られるニッチな商品や低価格帯の商品の販売にも向いています。
CtoC(個人間取引)から始まったECサイトのため、不慮のトラブルからセラーを守るセラー保護プログラムが充実していることも特徴です。現在は、新品販売が全体の約90%とも言われており、CtoCだけでなく、BtoC、BtoB向けにも活用されています。
東南アジア市場で大きな存在感を示しているのがShopeeです。シンガポールで始まったShopeeは東南アジア諸国や台湾で展開中。東南アジアのEC市場拡大の波にも乗って、急成長を続けるECプラットフォームです。
日本からは法人だけではなく個人も出店でき、出店プロセスも比較的容易なことが特徴です。人種や気候も多様な東南アジア市場は、商品のニーズもバラエティに富んでいます。新品だけでなく、中古品を含めた幅広いジャンルの商品に販売のチャンスがあります。
中国大手アリババグループが運営する、中国国外のEC事業者向け越境ECモール。
「美容」「食品・健康」「マタニティ・ベビー」に関連する商品が人気で、これらのカテゴリーは全体売上の約80%を占めます。こうしたジャンルの商品は高品質・安全性が求められるため、中国製品より高価でも手に入れたいと思われているのです。
なお、越境ECの国別売上ランキングは日本が1位となっており、日本製の紙おむつや美容器具、美容グッズに人気が集中しています。それ以外のジャンルでは、安価な中国商品との差別化が難しいかもしれません。
ブルームバーグ・エコノミクスは、アメリカ経済が2023年10月までに持続的で深刻な景気後退に入る可能性が「100%」だと発表しました。
高いインフレや大幅な利上げ、さらに世界情勢の緊張が相まって、アメリカ経済が圧迫されるという分析結果です。
アメリカのEC市場規模は中国に次ぐ世界No.2と言われていますが、このような景気後退によるEC消費への影響は今後避けられないでしょう。
また世界No.1の規模を誇る中国市場に関しても、言語や商習慣の壁は厚く、ECと言えども参入が難航する企業も少なくありません。
そこで注目したいのが、急成長中の東南アジア市場です。経済成長とともに所得水準が向上したり、コロナ禍でインフラの整備やスマートフォンの普及が進んだりと、EC利用を活発化させる条件が整った国が多くあります。
JETROによると、2022年における東南アジア6カ国のデジタル経済市場は前年比2割増の見込み。ビジネスチャンスを感じる成長率を記録しています。
ペースダウン傾向の日本や先進諸国に比べると、東南アジアでのEC市場の拡大はまだ始まったばかり。つまり、今後も大きな成長の伸びしろが残されているとも言えるのです。
本記事ではこうした成長率に着目し、急成長を続ける東南アジア市場の特徴や動向をご紹介していきます。
人口545.4万人、国土は1,103㎢という小さな国であるシンガポール。小国ながらも「アジアにおけるビジネスのハブ」として多国籍企業が数多く進出していることでも知られ、人口の38%は外国籍の人や永住者が占めています。こうした背景から、日常的に海外との接点が多い国でもあります。
台湾の人口は2,339万人で市場規模は比較的小さいものの、EC市場は右肩上がりで成長を続けています。歴史的な背景から日本語が通じる場合も多く、親日家が多いことでも知られています。中華圏マーケットへの進出ステップとして、まずは台湾へ進出する日本企業も多くあります。
東南アジア諸国の中心に位置するタイは、インドシナ半島中央部とマレー半島北部が国土となっています。宗教との結びつきが強いことでも知られ、国民の95%が仏教徒。「微笑みの国」と呼ばれるタイでは、人前で怒ることは滅多にないと言われています。
経済成長を堅調に続けるマレーシア。かつての主要産業は農林業でしたが、現在ではサービス業と製造業が経済の中心となりました。インフラが良好で災害も少ないため、さまざまな多国籍企業が投資や進出を進めています。
7,109の島々で成り立つフィリピンは、小さな島が多いためインフラが整備しにくく、これまで実店舗による売上が大半を占めていました。しかしコロナ禍の外出制限や店舗の営業停止措置によって状況は急変。インフラは整備され、EC市場が急拡大を遂げました。さらに現在では携帯の普及率も92%に達しました。
以上、国内と海外のECモールを多角的に分析し、最新情報とともにランキング形式でご紹介しました。
ご紹介したように、日本には情報がまだ浸透していないマーケットでも、すでに急成長を遂げている国や市場も数多くあります。
越境ECモールを活用すれば、拠点を変えずに販売の可能性を大きく広げることができます。デジタル化が進み、国内だけでなく海外のEC市場も手が届きやすい時代になりました。
ご紹介したランキングや最新情報を参考にしながら、商品やターゲットに合った市場でECモールを活用してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
Natsuko Sakurai
2拠点生活フリーランス。ロンドン、オランダ、スペイン 3ヵ国での在住や現地企業での勤務経験があり、帰国後も海外ビジネスに関わり続けています。コロナ禍をきっかけに、海外にしかオフィスのない現地企業との国際リモートワークが始まったりと、たえず働き方は進化中。