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海外向けネットショップの開設方法と成果を出すための運用ポイント
2022.10.31
昨今の円安や急変する世界情勢により、これまで日本が得意としていた輸入ビジネスは非常に厳しい状況が続いています。
日本国内の市場だけに頼ったビジネスモデルでは、成長の限界を迎えつつあります。
しかし、海外市場に目を向ければ明るいニュースも多くあります。EC市場の急拡大や経済成長を続ける国もあり、今こそ海外市場に目を向ける時なのではないでしょうか。
ここでは海外市場へ向けたネットショップの開設方法や成果を出すための運用ポイントを、海外販売が未経験の人にもわかりやすくご紹介していきます。
海外販売といえば、アメリカや中国へ向けた販売をイメージする人も多いかもしれません。
巨大な市場として存在感を放っていたアメリカや中国ですが、進出に成功している大手企業なども多いため、すでに強力なライバルが多く存在している市場だとも言えます。
これから海外販売に新規参入しようとするなら、強力なライバルがひしめき合うレッドオーシャンよりも、まだ競合が少ないブルーオーシャンを狙いたいもの。
また成長率に着目すると、アメリカや中国を超える勢いで急拡大を遂げているのが東南アジアのEC市場です。
ベイン・アンド・カンパニー社とメタ社(旧Facebook社)が2021年8月に発表した市場分析レポートによると、東南アジア主要6カ国の2022年のEC市場は前年比15%増の1290億米ドルに達すると推計しています。また、今後も2027年まで平均17%のペースで毎年成長を続けると予想しています。
こうした分析結果からも、今後も成長を続ける市場を選ぶことが海外販売で成果を出すための第一歩になると言えます。
その中でも特に、日本の越境ECセラーが進出しやすいと言われているシンガポール、台湾、マレーシア、タイ、フィリピンの5カ国について、本記事後半で詳しく解説していきます。
海外向けのネットショップ開設を検討する際には、メリットだけではなくデメリットも事前に理解しておくことがリスクの回避につながります。
ここからは、海外販売における主なメリットとデメリットについてふれていきます。
海外販売を行う際の最大のメリットともいえる、販路の拡大。ネットショップを活用した海外販売では、スピーディーに世界中の消費者をターゲットとすることができます。
実店舗による海外販売では、渡航費をはじめ店舗、人材、現地での在庫管理まで膨大な労力や初期投資費用がかかります。
一方ネットショップなら、国内に居ながら海外へ向けた販売を開始することができるので、初期投資も低く、短期間で効率的に販売を開始できます。
さらに海外販売を開始すれば、すべてではないものの、そのノウハウを別の国での販売に活かすこともできます。これまで日本1カ国だけだった販路を、複数の国に向けて一気に拡大させていくことも可能になるのです。
日本の人口は近年減少を続けており、少子高齢化傾向も継続しています。2025年には75歳以上の人口が全人口の約18%、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%になると推計されています。(厚生労働省調べ)
このような日本市場では、今後の市場成長スピードも鈍化していくと考えられています。
対して海外では、EC市場が急成長を続けている国や地域も数多くあります。海外販売では、このような市場の成長に伴う収益増加も見込むことができます。
国内ではありふれていて簡単に手に入る商品であっても、海外には多く流通しておらず、コレクターや熱心な愛好家がどうにかして手に入れたい商品が存在します。
海外では珍しい限定の菓子や食品、中古ゲームやカメラなどのガジェット、自動車やバイクのパーツ、アニメ関連グッズなど、海外市場では思いもよらない商品に希少価値がつく場合があります。
日本では需要が低くなっているアンティークの着物、和食器、畳などの伝統工芸品も、一部の消費者に高い人気があります。
こうした希少価値のある商品を需要の高いマーケットに向けて販売できれば、高い収益率も期待できるでしょう。
日本国内では問題なく販売できた商品でも、海外では輸入が禁止されている商品があります。
また宗教上の理由で販売方法に制限があるなど、相手国の規制やルールを知らずに販売するとトラブルにつながる場合もあるため、注意が必要です。
海外販売を行う際には、販売国や販売しようとしている商品に関するリサーチや最新情報の収集が欠かせません。
例えば、電圧が違うためシンガポールでは販売できない日本の電化製品も、電圧が日本とほぼ同じ台湾なら販売することができます。海外販売ではひとつの市場で諦めることなく、幅広いリサーチにより販売の可能性を広げることもできます。
これは輸入販売でも同様ですが、海外を相手に取引をする際には必ず為替の影響を受けます。
収益を確保するためには、仕入れ時と販売時で大きく為替が変動していた場合のリスクヘッジも行う必要があります。逆に、為替の変動により想定より利益が多く出る場合もあります。
日本語だけで完結できる国内販売とは異なり、海外販売ではネットショップに掲載する商品情報だけでなく、顧客対応なども外国語で行う必要があります。
外国語での対応や翻訳への苦手意識があっても、翻訳ソフトや翻訳サービスを活用しながらネットショップの運営に成功している越境ECセラーも存在します。
近年精度が高まってきているGoogle翻訳などの無料ソフトを利用したり、Shopeeなどの越境ECプラットフォームで提供している翻訳サービスを活用するのも手助けとなるでしょう。
ここからは海外市場に向けたネットショップの開設について、具体的な方法を解説していきます。
海外販売のできるネットショップ開設を行うには、次のような2つのパターンが一般的です。
越境ECモールとは、実店舗で例えると百貨店やショッピングモールと似ています。
複数の異なるネットショップが1ヶ所に集まっているため、自社のショップがまだ広く知られていなくても越境ECモールの知名度で集客することも可能です。
世界各国にさまざまな越境ECモールがありますが、これから販売していきたい国や市場に強いサイトを利用することが一般的です。
アメリカで創業された、世界No.1 規模のECモールです。低価格とスピードを重視して成長を遂げ、現在では世界20か国で利用されています。
なお、日本以外のアジア各国では利用率が低く、東南アジアにおいてはシンガポール以外の国にはまだ進出していません。
世界最大規模のアメリカ発のECモールで、ネットオークションサイトとして始まりました。現在では190カ国に展開し、定価販売も可能です。海外からも出店しやすいことが特徴です。
アメリカやヨーロッパではAmazonに次ぐ規模となっていますが、アジアでの利用率はあまり高くありません。
大手IT企業アリババグループが運営する、中国最大手のBtoC越境ECプラットフォーム。
中国法人だけが販売できる国内ECであるT-mall(天猫)の展開後、外国法人が出店できるT-mall Global(天猫国際)が開設されました。T-mall Globalは中国での越境ECシェアの約60%を占めています。
韓国最大級のECモールで、越境ECにおいても韓国市場でトップシェアを誇っています。化粧品や食品、アパレルなど幅広いジャンルの商品が出品されています。
アリババグループの傘下にあり、東南アジア圏に特化した越境ECプラットフォームです。現在、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの6カ国に対応しています。
なお、出店できるのは法人のみに限られ、事前にストア開設試験に合格する必要があります。
シンガポールで創設された、東南アジアと台湾で最大規模を誇る越境ECプラットフォームです。日本からは、シンガポール、台湾、タイ、マレーシア、フィリピンの5カ国に出品することができます。
世界ショッピングアプリランキング(Apptopia)では、2021年度の総合ダウンロード数で世界1位となり、アクティブセラー数も前年比70%増加している勢いのある越境ECプラットフォームです。
Shopeeは法人だけでなく、個人、小売、商社、メーカーなど幅広い業態のセラーが出店できることも特徴です。
ネットショップの作成ができるプラットフォームを利用して、海外販売機能のある独立型ショップを立ち上げる方法もあります。
独立型ショップはデザインの自由度も高く、越境ECモールよりも販売手数料を低く抑えることができます。ただし、モールのように自動的にユーザーが流入することは少ないため、集客施策を別途考える必要があります。
初心者でもネットショップが開設しやすいとして、180万店舗の開設実績のあるBASE。App(拡張機能)を使って、英語表示や外貨表記にも対応できます。初期費用や月額費用が無料のプランもあり、手軽にネットショップを作成できます。
BASEに次ぐ、国内大手ネットショップ作成プラットフォーム。初期費用や月額費用が無料からショップの開設ができます。英語対応や海外発送にも対応したサイトの構築が可能です。
カナダで創設されたShopifyは、現在世界175カ国の170万店舗以上が利用する世界最大級のECプラットフォーム。
デザイン性やカスタマイズ性が高いことが特徴で、アプリを使って在庫や発送の一元管理も可能です。
海外に向けたネットショップ運用で成果を出すためには、言語や通貨に対応するだけでなく、販売国の市場理解が欠かせません。
経済動向だけでなく、現地の文化や宗教が販売方法にも影響する場合もあるため、ターゲット国について色々な角度から知っていくことが大切です。
また、効果的な販売促進方法もご紹介していきます。
海外販売と言っても、各国の特徴は千差万別です。地理や気候だけでなく、文化的背景や宗教なども購買活動に影響します。
ここでは、今注目の東南アジア各国のマーケットの特徴や人気商品についてふれていきます。
シンガポールは国土728.6 km²ほどの小さな国。国土面積は東京23区とほぼ同じです。
国内の資源が限られているシンガポールでは、以前より外国から買い物をする習慣がありました。
英語の普及率も高いため、日本の越境ECセラーにとっては東南アジア圏で最も流通が多い国のひとつとなっています。
親日国でもある台湾は日本への信頼も高く、日本製品への需要も高い国でもあります。
インターネット利用率やスマートフォン所持率も高く、ネットショッピングは早い段階から注目されていました。近年では、30代以上のネットショッピング利用者も増加傾向です。
こうした傾向を踏まえ、日本の越境ECセラーにとって取引しやすい国として知られているのが台湾です。
多様な民族で構成されているマレーシア。マレーシアの国民はマレー系、中華系、インド系が中心となっています。中華系の人口は全体の約23%ですが、その数はシンガポールの人口よりも多いことも特徴です。
マレーシアのEC収入は2020年から2021年にかけて17.1%増となるなど、今後の成長が期待できるマーケットです。
経済成長を続けるタイでは、生活水準の上昇に伴って国民のスマートフォン所持率も上昇しています。
コロナ禍をきっかけにタイのEC市場は急拡大を遂げ、スマートフォンからのEC利用も7割を超えています。
比較的新しい越境EC販売先として注目を集めているフィリピンの平均年齢はなんと25歳。若者が多い国なので、今後もECの需要が伸び続けると予想されています。現地在住の日本人も多く、在比日本人からの需要も見込めます。
*なお、輸出禁止品や規制については各国の状況により随時更新される可能性があります。本記事はあくまで参考となりますので、必ず販売開始前に最新情報を確認するようにしてください。(Shopeeではセラー自身の確認ミスによって発生したいかなる損失に対しても責任を負いません。Shopeeで販売いただく各セラーは現地の販売規則や税制および配送会社のルール・ポリシーを確認いただく必要・責任があります。)
ネットショップの売上アップに欠かせない販売促進。ここでは、海外販売ならではの効果的な販売促進方法をご紹介します。
世界のEC市場において、最も重要なピークと言えるのが1年の最後の3ヶ月間です。
この3ヶ月間は季節イベントや休日などが集中しており、消費者の購買行動が最も活発化する期間です。
それぞれの文化や休日によって各国の消費者行動は異なりますが、文化の多様性が大きな東南アジアでも、EC販売による売上の約40%が10月、11月、12月に集中しています。
この期間の主な商機となるのは、感謝祭、サイバー・マンデー、ブラック・フライデー、独身の日、クリスマス、新年など。これらの大型セールでは、消費者の期待や購買意欲が盛り上がります。
なお、大型セールの時期はそれぞれの国や文化によって異なります。例えば、イスラム教徒の多いマレーシアでは、ラマダン中にECでの購買が活発化します。
販売先の国にはどんな大型セールや季節イベントがあるのかを把握し、ニーズに合った準備を整えることが売上アップのためのポイントとなります。
10月1日:国慶節(中国)
10月10日:ショッピング・イベント(シンガポール、マレーシア)
11月11日:独身の日(中国)/ 中国発祥の大型ショッピングデーですが、東南アジアにも普及しました
11月25日:ブラック・フライデー / 欧米発祥。感謝祭翌日の金曜日
11月28日:サイバー・マンデー / 感謝祭の後の月曜日。これらは東南アジアでも影響力があります。
12月1日~30日:年末一掃セール(台湾)
12月12日:12.12 ショッピング・フェスティバル(東南アジア) / 東南アジア版の独身の日
12月1日~24日:クリスマスセール
Shopeeでは10月10日、11月11日、12月12日に各マーケットで大型セールを開催しています。さらに大型セールに向けた準備ガイドやマーケティングウェビナーなどを開催し、売上を伸ばすためのサポート体制も充実。効果的な出品方法や準備について最新情報を提供していますので、参加してみては。
より多くの集客をするためには、広告の活用も効果的です。特に越境ECモールでは、モール内に出店しているセラーが利用できる広告サービスが豊富です。
例えばShopeeなら、Shopee Adsと呼ばれるプラットフォーム内の広告サービスが利用できます。クリック課金型なので、実際にユーザーがクリックするまでは掲載費用はかかりません。
①キーワード広告
②ディスカバリー広告(商品発見広告)
数多くのネットショップがひしめく越境ECでは、競合に埋もれてしまい集客が難しいこともあります。集客や売上に壁を感じた時には、広告を活用してみるのも良いかもしれません。
次に、海外に向けたネットショップの運用における注意点についてもふれていきます。
英語が母国語でない国では、消費者とのコミュニケーションに現地の言語が役立つ場合があります。
さまざまな民族が集まっている東南アジアでは、1カ国に複数の民族が居住していることも珍しくありません。
越境ECにおいて、東南アジア各国で主要な言語は下記となっています。台湾以外の国では英語での出店も一般的ですが、翻訳サービスなどを利用して現地語に翻訳することで英語を話さない顧客も取り込むことが可能です。
Shopeeでは、新規セラーを対象にした翻訳サービスや台湾向けに繁体字中国語翻訳サービスも提供しています。
海外販売では、国によって販売禁止商品や規制が違うことにも注意が必要です。
特に東南アジアでは信仰心の高い国も多く、宗教的なタブーも存在します。例えばタイ仏教では象が、ヒンドゥー教では牛が神聖な生き物とされているため、商品として取り扱う際には注意が必要です。またイスラム教では豚は穢れた動物とされており、食べるだけでなく触れることも禁忌とされています。
このように輸出のルールだけでなく、文化的なマナーも理解するように心がけることで、海外でも受け入れられやすいネットショップの構築を目指すことができます。
国際情勢の変化の大きな昨今では、規制やルールが頻繁に変更となることも珍しくなくなりました。最新情報を入手することも注意しておきたいポイントです。
以上、海外向けネットショップの開設方法と成果を出すための運用ポイントをご紹介しました。
国内販売と違って、翻訳や規制の確認などの事前準備は必要ですが、勢いよく成長している市場に向けた販売のチャンスを掴むことができます。
Shopeeでは、海外販売が初めてでもスムーズなネットショップの開設ができるように手厚くサポートしています。簡単な4ステップでアカウント登録が行えますので、一度チャレンジしてみては。
この記事を書いた人
Natsuko Sakurai
2拠点生活フリーランス。ロンドン、オランダ、スペイン 3ヵ国での在住や現地企業での勤務経験があり、帰国後も海外ビジネスに関わり続けています。コロナ禍をきっかけに、海外にしかオフィスのない現地企業との国際リモートワークが始まったりと、たえず働き方は進化中。