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【最新版】台湾のファッション傾向とアパレル事情、日本との関係も
2023.07.31
アパレル業界における海外ビジネス先として、選択肢に挙がることが多い台湾。
訪日旅行客も多く、日本語が通じる親日国としてなにかと交流が多い台湾ですが、ファッションビジネスを考える際には注意しておきたいこともあります。
それは、台湾人はファッションにおいて快適さや気楽さを重視しているという点です。
経済が発展し、個人の購買力も上昇した最近の台湾にはビジネスチャンスも多いのですが、本格的な海外展開をする前に現地のニーズをしっかり掴んでおきたいもの。
本記事では、台湾のファッション傾向とその背景についてわかりやすく紹介していきます。
南北に細長い台湾本島は、北部が亜熱帯地域、南部は熱帯地域となっています。
台湾北部に位置する首都の台北は1年中温暖な気候で、はっきりとした四季はありません。夏は湿度が高く非常に暑くなり、スコールや台風も頻発します。冬は日本よりも暖かく、肌寒いくらいの気温です。台湾の冬は日本の春くらいの気温です。
つまり、台湾は日本よりも気温や湿度が高く、1年を通じて蒸し暑くなりがちな気候です。
台湾は、日本人や日本文化に対して好意的な親日国として知られています。現在に至るまでの背景を紹介していきます。
歴史的な背景を紐解くと、1895〜1945年までの50年間、日本に統治されていたことが関係しています。統治された歴史があると統治国に反感を抱く国が多いのですが、意外にも台湾は非常に親日的。その理由は、「台湾の経済発展に寄与した」とも言われる統治時代の日本の政策です。
台湾の人々が困っていることや欲しているものを把握し、現地の慣習を尊重しながら、さまざまな技術や制度を導入する手法で統治が進みました。鉄道、道路、港の建設による交通手段の整備、ダムの建設による農業用水の不足を解消し、農業発展にも貢献しました。
半世紀という長い統治時代に日本語教育なども進められたため、台湾には日本語が通じる人が現在でも数多く存在しています。
現代の台湾でも、日本製品の人気と信頼は高く、台湾製なのに日本語の表示をする商品もあるほど。台湾の街中に日本語の看板や日本の製品が溢れて、日本のアニメや番組をテレビ放映する「日本チャンネル」もあります。
また台湾人の旅行先として、日本は非常に人気が高く、常にトップにランクインしています。自由に旅行ができなかったコロナ禍でも、「偽出国」と称し、入国はせずに日本の空港内で免税ショッピングなどをして戻る擬似海外旅行が爆発的な人気となるほどでした。
このように、現代の台湾では日本や日本製品への憧れが強く、人々の生活に深く影響しています。
次に台湾のファッション傾向ですが、男女ともに共通しているのが「日本人よりもカジュアル」だということです。
冒頭でご紹介した台湾の気候を考えれば当然ですが、年中暖かく湿度も高い台湾では、緊張感のあるかっちりとしたファッションはあまり好まれません。
さらに、台湾ではバイクの保有率がかつて世界1位となったこともあるほど、人々の生活に浸透しています。現在でもバイクは国内における主要な交通手段で、台湾におけるファッションは、暑さやバイクと共存するものでもあります。
ヘルメットで潰れてしまう髪型や、蒸し暑い気候にも合うカジュアルなファッションが台湾の人々に好まれています。
男性は普段からビーチサンダルを履いており、女性は化粧をあまりしません。おしゃれをすることもありますが、日常的には快適さや気楽さを重視したファッションが人気です。
蒸し暑い気候に合わせて「Tシャツ、短パン、ビーチサンダル」という、南国的で気楽なファッションが男性に人気です。
特に熱帯地域の南部では日常的に急なスコールに見舞われ、インフラが整っていない地域では道路が冠水してしまうほど。
こうした影響もあって、濡れても気にならない「Tシャツ、短パン、ビーチサンダル」といったファッションが台湾の男性に好まれています。
暑さ慣れした台湾人は、実は寒さに弱く、冬の時期は靴、ジャケット、アウターなども着用します。
「Tシャツ、ショートパンツ、サンダル」といったカジュアルなスタイルやゆったりとしたシルエットのファッションが女性に人気です。
蒸し暑い気候の台湾では汗をかくシーンも多いため、風通しのよいファッションが好まれます。逆に、ボディコンなどの体にフィットするファッションはあまり好まれません。ボディラインを強調しない、リラックスしたムードのファッションが主流です。
また、台湾女性の化粧はナチュラル系が主流です。台湾では「化粧をしないと外に出られない」という意識は弱く、それよりも「汗で落ちるなら化粧をしない方がいい」「バイクに乗っている時に雨が降ると面倒」といった意識が強くなります。
暑さとバイクが大きく影響している台湾女性のファッションですが、肌寒くなる冬にはコートやニットなどを着ておしゃれを楽しむ人も増えます。
富裕層からカジュアルな若者まで、台湾には様々なアパレルショップがあります。
ここでは、台北で人気のアパレルショップについてご紹介します。
日本に対して好意的なイメージを持つ台湾では、日本のブランドを取り扱うセレクトショップも数多くあります。実際に台湾のアパレルショップで取り扱われているブランドや好まれるスタイルを分析すれば、台湾市場で売れやすいアイテムのヒントが掴めるかもしれません。
ショップ:リンク
アジアでもトップクラスに入るラグジュアリーな百貨店。もともとは台湾の富豪が娘のために5年の歳月をかけて建てたという逸話もあり、その営業面積は10,000坪以上。エルメスやGRAFFなどの高級ブランドをはじめ、日本のブランドを取り扱うセレクトショップ「03 tokyo」も入っています。
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STUDIO NICHOLSON、forte forteなどヨーロッパのブランドから、日本のATONまで世界のファッションブランドを取り扱うセレクトショップです。リラックス感のある大人の女性をイメージしたセレクションが特徴。
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店内に木製の什器を多用し、クリーンなのにどこか温かみのある洗練された印象のセレクトショップです。メンズ・ウィメンズの国際ブランドを多数取り揃えており、日本からはOUTILやnanamicaがラインナップ。古着もあるので、ワークウェア系のファッションが好きな方にもおすすめです。アイウェアやフレグランス、雑貨など、ライフスタイル全般の商品を取り扱っています。
*取扱いブランドに関する記載は2023年7月現在の情報です。最新情報は各ショップの公式サイト等でご確認ください。
ファッショントレンドを発信するファッションウィーク。台湾では台北を中心に開催されていますが、今年でまだ6年目と歴史は浅く、台湾のアパレル業界における役割はまだまだこれからというところ。
2023年3月に開催されたAW2023コレクションには、台湾の伝統芸能・伝統工芸と現代ファッションの融合をテーマに、数々の台湾ブランドが参加しました。今回は、1つのサステナブルショー 、12のブランドショーと3つの学生ショーで構成されました。
AW2023 台北ファッションウィーク参加ブランド(抜粋)
台北ファッションウィーク期間中は、台北のSOGOデパート復興店に期間限定のセレクトショップも登場。40以上の台湾のデザイナーブランドを集め、国内外への市場拡大をサポートしました。
ファッションへの興味が年々高まる台湾で、台北ファッションウィークが今後どのような役目を担っていくのか、そして第2の東京ファッションウィークとなり得るのか注目です。
台湾の経済発展は続いており、豊かさで日本を超える日も近いと予測されています。
2022年に台湾の1人当たりのGDP(国内総生産)は、韓国を追い抜きました。日本経済新聞系列のシンクタンク、日本経済研究センターによると台湾のGDPが日本を近く追い抜くとの予測を発表しています。
実際に、国際通貨基金(IMF)が公表した2023年4月のデータによると、2022年の台湾の1人当たりGDPは3万2643ドルで世界32位。30位の日本(3万3821ドル)に迫る勢いでした。
台湾の国土は九州ほどの広さで、人口も約2300万人と中規模の国ですが、近年は半導体をはじめとするIT産業の発展により目覚ましい経済成長を続けています。こうした経済成長に伴い、今後、台湾は日本以上の購買力を有する国になるのではないかと注目されています。
以上、台湾のファッション傾向やその背景にある様々なアパレル事情をご紹介しました。
日本への信頼も厚く、強い憧れを持っている台湾ですが、日本語も通じやすいという他のアジアの国々にはないプラスの側面が多くあります。近年の経済成長に伴って個人の購買力も上昇しているため、ビジネスチャンスを感じている日本企業も多いのではないでしょうか。
すでに台湾に進出している日本のファッションブランドもあるので、これから海外進出を考えている日本企業にとって参考になるポイントも多いでしょう。
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この記事を書いた人
Natsuko Sakurai
2拠点生活フリーランス。ロンドン、オランダ、スペイン 3ヵ国での在住や現地企業での勤務経験があり、帰国後も海外ビジネスに関わり続けています。コロナ禍をきっかけに、海外にしかオフィスのない現地企業との国際リモートワークが始まったりと、たえず働き方は進化中。