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なぜ今ベトナム越境ECが注目されるのか?日本からの越境販売を開始したShopeeが魅力を解説
2024.12.12
なぜ今、ベトナムへの越境ECが注目されているのでしょうか?
急速な経済成長が続くベトナムに向けて、越境ECで進出しようと考える日本企業が増えています。
本記事では、ベトナムの越境EC市場が注目される理由から、ハードルを感じやすいポイント(物流インフラ・法規制・言語)などを交え、越境ECで期待が高まる理由を徹底解剖していきます。
越境ECの進出先として、注目が集まっているベトナム。なぜ今ベトナムなのでしょうか?
かつての発展途上国のイメージを覆す、現在のベトナム越境EC市場について、最新情報を交えて解説していきます。
ベトナムの2023年における実質GDP成長率は5.05%でした。2024年も第1四半期(1~3月)は5.66%と高水準を維持し、ベトナムでは好調な経済成長が続いています。(JETRO発表、前年比)
ちなみに、日本における2024年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は-0.7%とマイナス成長。ベトナムの経済とはかなり開きがあります。
ベトナムの好調な経済成長の背景には、独自の政策が関係しています。ベトナムは以前、完全な社会主義国でした。ですが、1986年に施行されたドイモイ政策により、社会主義体制を維持しつつも緩和し、資本主義的な市場経済を導入しました。この政策により、これまでは配給制だった生活が「お金でものが買える経済」へと大きな変化を遂げたのです。
世界で資本主義経済が始まったのは18世紀のことです。資本主義が浸透し、すでに経済が成熟している他の先進諸国と比べ、1980年代に資本主義を始めたばかりのベトナムでは、残された経済成長の伸び代はかなり大きなものです。1990年以降も高い経済成長を記録してきましたが、現在も高い水準で成長を続けています。
ベトナムの人口は約1億人で、世界で上位16位にランクインするほど多くの人が住んでいます。そして、ベトナムでは平均年齢も31歳と非常に若いのが特徴です。なかでも20歳後半の割合が高いため、その若い労働力を背景に、今後のさらなる経済発展が期待されています。
ちなみに、日本の平均年齢は48.4歳に達しており、ベトナムとは17歳以上の開きがあります。日本の人口は約1億2千万人ですが、人口全体の高齢化が進んでいるため、国全体の労働力も高齢化を迎えています。経済の成熟と労働力の高齢化により、国内経済に活気を取り戻すには大きなテコ入れが必要な状況となっているのです。
このように、日本と比較しても、ベトナムには今後も引き続き大きな経済発展の可能性があることがわかります。
急速な経済成長と若く活力のある労働力に支えられ、ベトナムではEC市場も勢いよく成長しています。
ジェトロによると、ベトナムのEC市場は2018年から2022年の5年間でなんと5倍の規模に成長しました。
その背景には、ベトナム政府がECの普及・拡大に積極的であることが挙げられます。EC取引に関する法的枠組みは2013年以降に整備され、その後も継続的に改善されています。
さらにECの発展に不可欠な電子決済も一般消費者へ急速に普及しており、2025年にはベトナムのEC取引全体の50%を電子決済が占めると予想されています。
このように、EC市場の拡大および電子決済の普及により、今やベトナム国民の日常生活にECは広く浸透し、欠かせないものになってきました。
昨今、ベトナムが越境ECの参入先として注目されている理由は、国境を越えるEC販売に好条件な市場規模・販売環境が急速に整ってきていることがあげられます。
急速な経済成長とEC市場の拡大が続くベトナムでは、日本の商品にも高い需要があります。
こうしたニーズの高まりから、東南アジア市場で最大級の越境ECプラットフォームShopeeでは、2024年4月より日本からのベトナム越境販売を開始しました。
Shopeeはベトナム市場において既に高いマーケットシェアがあったため、日本からの越境販売開始を待ち望んでいた企業・消費者も多かったのではないかと思います。
ベトナム市場への越境販売の開始を機に、Shopeeの日本法人、ショッピージャパン株式会社では独自の意識調査を行いました。
調査名称:ベトナムでの越境ECに関する意識調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2024年5月14日〜同年5月15日
有効回答:越境ECを実施しており、ベトナム市場での越境EC事業を実施しているまたは、今後検討している経営者・役員104名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
「Q1.あなたが、ベトナムでの越境ECを検討している/した理由を教えてください。(複数回答)」と質問したところ、「日本製品に対する信頼度が高いから」が54.8%、「EC利用率が高いから」が52.9%、「持続的な経済成長が見込めるから」が44.2%、「人口が増加しているから」が44.2%という回答となりました。
世界で高く評価されている日本製品への信頼に続き、EC利用率、経済成長、人口増加などベトナム市場の今後の成長を期待する回答が多く見受けられました。
「Q2.あなたは、ベトナムでどのような商品を中心に売りたいと考えていますか。(複数回答)」と質問したところ、生活雑貨、衣料品、食品(生鮮品を除く)などが回答の上位となりました。
生活雑貨、衣料品、食品(生鮮品を除く)の他にも、ソフトウェア、趣味用品、家電など日常生活に関するさまざまなジャンルの商品をベトナムに進出させたいという意向がうかがえます。
「Q3.あなたは、ベトナムで越境ECを行う上で、ハードルを感じていますか。」と質問したところ、「非常に感じている」が31.8%、「やや感じている」が45.2%という回答がありました。
つまり、計77.0%の回答者が何らかのハードルを感じているという結果になりました。
Q3で「非常に感じている」「やや感じている」と回答した方に、「Q4.あなたは、ベトナムでの越境ECのどこにハードルを感じていますか。(複数回答)」と質問したところ、「物流インフラの整備」が66.2%、「現地の言語対応」が51.2%、「現金の代引き決済への対応」が47.5%という回答となりました。
ベトナムの公用語はベトナム語ですが、近年の経済発展に伴い、都市部を中心に第二言語として英語を理解する人も急速に増えてきています。
国際教育事業を展開するイー・エフ・エデュケーション・ファースト(EF)発表の2023年度「EF EPI 英語能力指数」によると、ベトナムの英語力はアジア24カ国中7位でした。同リサーチでは日本は15位、中国は14位となっており、これらの国々と比べるとベトナムの英語力は高く、以前よりも英語が通じやすくなってきていると言えます。
「Q5.今後、ベトナム市場への新規参入は多くなると思いますか。」と質問したところ、「非常にそう思う」が49.1%、「ややそう思う」が40.4%という回答となりました。
約9割もの回答者が、今後ベトナム市場への新規参入が多くなると考えていることがわかります。
参入にあたり、物流インフラ、現地での言語や決済の対応などを懸念する声もあったものの、急速な成長が続くベトナム越境EC市場への可能性を期待する回答者が非常に多いことがうかがえます。
可能性を感じるベトナムの越境ECですが、どんなことがハードルとなるのでしょうか?
本章では、ベトナム越境ECにおける課題と対策について分析します。
ベトナムの消費者について特筆したいのは、すぐに品質やセラーを信用しないという傾向です。
ベトナムには詐欺のWebサイトが多く、ECにおいても決済ができずに注文が完了できないというサイトも数多く存在します。
Vietnamnet Globalの調査によると、「ベトナムのオンライン・バイヤーの84%が製品の品質に懸念を抱く」というデータもあり、ベトナムの消費者は常に不安にさらされていることがわかります。
そのため、ベトナムの消費者はECで購入する場合であっても、実店舗のように販売者の存在が見え、しっかりとコミュニケーションが取れることを確認し、安心した上でやっと購入に進むという傾向があります。
一方、日本のECでは、ショッピングカートつきのWebサイトのみで注文から決済まで完結し、販売者と直接コミュニケーションを取ることなく購入が完了することがほとんどです。
警戒心の強いベトナムの消費者に向けた販売では、越境ECにおいてもコミュニケーションをより一層大切にすることが大切です。
対策
国際送料がかかるのは、ベトナムに限ったことではなく、越境ECにつきまとう課題です。遠く海を超えた外国まで商品を配送するには、どうしても国際送料や関税がかかります。
こうした国際送料の課題を差し引いても、国内ECよりも拡大成長の伸び代が残されている越境ECには大きな魅力があります。
国際送料に関する課題を解決するには、現地の消費者に「国際送料を払っても、この商品を買いたい」と思ってもらうことが大切です。
ベトナムにおいても、「日本製品は品質が良く、安心・安全」というイメージが強くあります。高い品質や、安心・安全を求める消費者に向けて、商品を上手にPRすることで「少し高くても良いものを買いたい」という消費者に訴求することができるでしょう。
対策
どんなビジネスにおいても新規参入において、課題はつきものです。これまでにない急成長を遂げているベトナム市場の可能性に魅力を感じているなら、しっかりと対策を準備して前進していけばよいのではないでしょうか。
アメリカや中国をターゲットとするこれまでの越境ECでは、1カ国のみを進出先として考えるのが主流でした。しかし、陸続きで宗教や文化が近隣諸国で交わる東南アジアでは、1カ国に限定することなく、近隣の複数国に同時進出するのもおすすめです。
前述のショッピージャパン株式会社による、「ベトナムでの越境ECに関する意識調査」によると、越境ECにおける進出国として、ベトナムは「2カ国目」の回答が34.6%で最多でした。
Q6.越境ECにおける進出国として、ベトナムは何番目に進出した/する予定の国ですか。
このリサーチにおいて、ベトナムを2、3、6カ国目の進出先として選んでいる回答者が多いことからも、東南アジアで複数国への同時進出が有効だと読み取れます。
東南アジア・台湾市場でトップシェアを誇る越境ECプラットフォームShopeeでは、複数国への越境EC進出も簡単な操作で可能です。
経済成長、人口増加、EC市場の拡大、電子決済の普及など、越境ECに好条件が整ってきている注目のベトナムで越境ECに挑戦してみませんか。
Shopeeでは現在、シンガポール、台湾、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムの6つのマーケットに対応しています。企業だけでなく、個人の販売者にも対応しているShopeeでは日本語のサポート体制など手厚いサービスで販売者の皆様をサポート。
越境ECの課題でもある高い国際送料をお得に利用できる独自の配送サポートなど、Shopeeならではのサービスも充実しています。
成長が止まらないベトナム市場に向けて、越境ECにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
Natsuko Sakurai
2拠点生活フリーランス。ロンドン、オランダ、スペイン 3ヵ国での在住や現地企業での勤務経験があり、帰国後も海外ビジネスに関わり続けています。コロナ禍をきっかけに、海外にしかオフィスのない現地企業との国際リモートワークが始まったりと、たえず働き方は進化中。