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ナルミヤ・インターナショナル:国内で600以上の店舗展開をするアパレルブランドがShopee運営で感じた国内ECとの意外な違い

petit main

株式会社ナルミヤ・インターナショナルはベビー・子ども服の企画販売事業、オリジナル・ライセンスブランドの展開、子ども服及び関連製品の製造加工販売などの「子供向けアパレル事業」を基軸に運営しています。子どもたちの日常を彩るカジュアルから、特別な瞬間のためのフォーマルまで。手頃な価格でお届けしています。

今年度からShopeeに出店されている株式会社ナルミヤ・インターナショナルさんより取材の機会をいただきました。キッズファッション業界で最前線を走っている注目のセラーさんです。今回はEC事業部をご担当されている加藤様へインタビューをしました。

 

〈左からナルミヤ加藤様、Shopee村松〉

 

 

Shopeeスタートの背景:インバウンドの旅後のニーズに応えるための新たな挑戦

Shopee 村松:まず、貴社の事業について簡単にご紹介いただき、Shopeeで販売されている商品ジャンルについてもお聞かせください。

加藤様:株式会社 ナルミヤ・インターナショナルは、0歳から15歳までの幅広い年齢を対象とした子ども服向けの専業会社です。事業として40年以上展開しており、オリジナルブランドから海外ブランドまで20ブランドを取り扱っています。

例えば「kate spade new york kids」「Paul Smith JUNIOR」「ANNA SUI mini」といったライセンスブランドも含まれています。国内には約600店舗を展開しており、来年には台湾に実店舗を出店する予定です。


国内では、ショッピングセンターや百貨店、アウトレット、EC、卸売といった多様なチャネルで展開しています。それぞれのチャネルに適したブランドを展開し、販売機会を最大化していることが当社の強みだと思います。

 

Shopee 村松:国内で幅広く展開されている中で、Shopeeを知ったきっかけや、実際に始めようと思われた理由をお聞かせください。

加藤様:現在、実店舗では首都圏を中心にインバウンドのお客様の売上が非常に伸びており、その規模は見逃せないほど大きくなっています。お店によっては、売上の3割が海外のお客様によるものです。

当社の強みである全国600以上の店舗を活かし、帰国後もリピートしていただけるよう、海外ECや越境ECに挑戦することを決断しました。特に台湾や香港のお客様のニーズが高く、Shopeeを選んだ理由としては、台湾や東南アジアに強いモールである点が大きかったです。これがShopeeに出店するきっかけとなりました。

 

Shopee 村松:国内での売上にエリア別の特徴はありますか? 例えば、都内だとインバウンドのお客様がさらに多いなど、地域ごとに異なる傾向があるのでしょうか?

加藤様:関東では特に銀座エリアで、インバウンドのお客様が全体の40〜50%を占めています。新宿地区や大阪・梅田、福岡のショッピングセンターでもインバウンド比率が高いです。現時点では、特に海外のお客様向けの大きなアプローチをしていないにもかかわらず、これだけの売上を作れていることから、今後さらに海外向けの施策に注力する予定です。具体的には、Shopeeに加え、今年7月からは中国系のお客様向けにSNS「小紅書(RED)」のアカウントを開設し、訪日観光客向けのプロモーションも少しずつ展開しています。

 

Shopee 村松:海外向けにプロモーションや認知度向上の施策を行っていたのでしょうか?

加藤様:特別な施策はしておらず、petit mainのInstagramフォロワーが現在約48万人おり、そのうち約4,500人が台湾のお客様です。台湾向けに意識して投稿しているわけではありませんが、自然と台湾の方々にフォローされています。

 

Shopee 村松:現地では日本の雑誌やファッション情報が流通していることから、日本のトレンドをキャッチしているのかもしれませんね。

 

加藤様:そうかもしれません。Shopeeや中国のモールでもCtoCで当社の商品を扱うバイヤーが多く、特にアウトレットではバイヤー経由の売上が無視できないほど大きいです。「直接私たちの商品を購入したい」という海外のお客様も多いのではないかと感じ、直接販売にチャレンジすることにしました。

 

台湾ではランドセル文化がなく、A4サイズのリュックに需要が 

ーShopee 村松:現在、中華圏、特に台湾や中国に注力されているとのことですが、Shopeeを通じて他の東南アジア諸国への展開について、台湾攻略後の次のステップとしてどのような展望をお持ちでしょうか?

加藤様:そうですね。今後、台湾に実店舗をオープンすることで相乗効果を期待しています。その次のステップとして、シンガポールやタイ市場も視野に入れています。実店舗のオープンにはハードルが高い部分もありますので、まずはネットを通じた展開でテストマーケティングを行うことが重要だと考えています。Shopeeの強みであるネット展開を活用して、どの商品が現地で売れるかを見極め、そのデータを社内で共有しながら、実店舗オープンの参考にしていきたいです。

 

ーShopee 村松:実際、最近ではブランドがテストマーケティングのためにShopeeを活用するケースが増えています。貴社とは異なる業界でも、現地で本格的に販売を始める前に越境ECを使って現地のニーズや市場の反応を探り、販売戦略を検討する流れが浸透してきました。弊社の強みは、現地にすでに多くのユーザーがいることですので、ぜひShopeeを活用してインサイトを得ていただきたいです。

 

加藤様:少し余談ですが、台湾での売上の中でリュックサックの比率が非常に高いんです。毎日必ず1個売れる感じですね。

 

ーShopee 村松:子供用のリュックサックですよね。

 

加藤様:そうです。国内の店舗ではこれほど毎日売れることはないので驚きました。なぜこんなに売れるのか調べたところ、日本ではランドセルが普及していますが、台湾にはランドセルがないため、小学校の通学用にリュックサックを買う方が多いことが分かりました。特に「A4サイズが入るか」という問い合わせが多く、学校で日常的に使えるものとして選ばれていることが分かりました。こういったデータは非常に参考になりましたね。

 

また、petit mainのMDチームにも相談し、今後は日本の商品をそのまま展開するだけでなく、最終的には現地のニーズに合わせたローカライズ商品を提供する方向で考えています。たとえば、A4サイズ対応や防水仕様など、ランドセルに近い機能を持たせた商品展開を検討しています。

 

ーShopee 村松:それは非常に参考になりますね。実際、弊社でも「Back to School」のシーズンは大きなビジネスで、フィリピンやタイでは文具カテゴリーが急成長する傾向があります。

 

Shopee 竹内:Shopeeのアフィリエイトマーケティング機能経由でインフルエンサーが紹介した御社の商品も、リュックサックが上位3つに入っています。

 

Shopee 村松:おそらく紹介もしやすいのかもしれないですね。

 

Shopee 竹内:フォロワーが数万人いるインフルエンサーが紹介してくれると、台湾の人口が日本の5分の1ですので、日本で言えば数十万人のフォロワーに相当する影響力になりますね。

 

 

国内ECのプロ視点で感じたShopeeのスケールメリットの大きさ

ーShopee 村松:すでに他のECモールにも出品されている中で、Shopeeを運用開始してみて、難しかった点や良かった点は何ですか?

 

加藤様:最初に管理画面を見たとき、日本語ではないという点に違和感があり、本当に大丈夫かなと思いました。でも、翻訳機能を使うとニュアンスが伝わってきたので、最初は少し抵抗がありましたが、実際に運用してみたら、商品登録や受注処理、チャット対応なども思ったよりスムーズにできました。言葉の壁を懸念していましたが、今のところ問題なく対応できています

 

ーShopee 村松:それはよかったです。

 

加藤様:商品登録も、一括や手動で登録できる点は国内でも同じで、特に違和感なく運用できました。翻訳の手間はありますが、それ以外の商品マスター登録はスムーズに進みますし、商品詳細に「動画挿入」が比較的簡単にできる点は国内とは異なり、使いやすいと感じました。

 

ーShopee 村松:そうなんですか。国内のECモールでは、そこは手間がかかるんですね。

 

加藤様:国内では、HTMLを直接書いたりする必要がありますね。

 

ーShopee 村松:直感的な操作とは言えないんですね。

 

加藤様:さらに、受注時のステータス管理が明確なので、国内ECと同じ感覚で運用でき、国内事業者としては非常に安心できました。また、大きな課題だった「出荷」についても、ShopeeのSLSを利用することで、台湾のユーザーに直接出荷できるのが非常に便利だと感じています。配送料に関しては、実際に出荷してみないと請求額が分からないこともありますが、たまに5〜600円で送れることがあり、日本国内よりも安いと感じることもあります。これはShopeeのスケールメリットを活かして展開できているのではないかと思います。自社でやるとかなり大変ですからね。

台湾のお客様に直接、当社倉庫から送る場合、受け取り確認やステータス管理が大変ですが、Shopeeのフローに従って進められるのは非常にありがたく、簡単です。

 

ーShopee 村松:それは良かったです。スケールメリットという点で、日本からの越境販売は拡大しており、より競争力のある価格で提供できるようになっています。台湾ももちろん成長していますが、ベトナム、フィリピン、タイなどは今年中にさらに物流コストを下げる予定ですので、国内とほとんど変わらないと感じていただけるようになると思います。

 

加藤様:配送料は本当に驚くほど安いです(笑)

 

また、チャット機能も翻訳を使って対応すれば、ニュアンスの微妙な違いはありますが、大きなクレームも発生していません。言葉の壁も、翻訳機能で何とかなるかなと感じています。

 

ーShopee 村松:チャットではどのような質問が多いですか?

 

加藤様:一番多いのは「いつ届くか」という質問です。説明文に記載していますが、それでも問い合わせが多いですね。売り切れの商品に関して「再入荷しませんか?」というお問い合わせもよくあります。

 

 

国内ECと比較して見えた、リアルなShopeeでの懸念点

ーShopee 村松:Shopeeが国内の認識と一番異なる点はどのようなところだと思われますか?

 

加藤様:管理画面を使っていて感じるのは、「リアルタイム性」がすごいという点です。国内モールでは、バックで登録してもフロントに反映されるまで数分かかることがありますが、Shopeeさんはほぼリアルタイムで反映されるので、非常に便利だと思います。

 

ーShopee 村松:そのように感じられているのですね。

 

加藤様:管理画面のメニューがシンプルで分かりやすい点も使いやすいですね。さらに、チャットでお客様と気軽にコミュニケーションが取れるのも大きな利点だと思います。

 

ーShopee 村松:リテンションマーケティングの一環として、チャットを活用してロイヤリティ向上に努めていらっしゃるのですか?

 

加藤様:そうですね。初月の6月と7月は初めて購入してくれた方には必ずレビューを書いてもらうようにし、F2転換(再購入)を意識していました。

 

ーShopee 村松:それはとても重要ですね。フロントの反映時間については新しい発見でした!管理画面もブラッシュアップを進めています。

 

加藤様:ただ、国内ECに比べて劣る点が一つあります。

 

ーShopee 村松:どうぞ、たくさんお聞かせください!

 

加藤様:商品画像が9枚しかアップロードできない点です。

 

ーShopee 村松:9枚では少ないということですね?

 

加藤様:そうです。他のアパレル系も同じだと思いますが、当社の場合、1商品につき20枚くらいの画像があるので、どれを選ぶかに苦労しています。

 

ーShopee 村松:どの9枚を選ぶか悩むということですね!

 

加藤様:多分、HTMLを書けば対応できるのかもしれませんが、私にはその技術がないので、もっと簡単に画像をアップロードできるようにしてもらえたら嬉しいです。

 

ーShopee 村松:もっと多くの画像をアップロードできるようにする余地があるのに、今は選ぶしかないということですね。

 

加藤様:モデルの着用画像もたくさん撮影しているので、本当はもっと見せたいのですが、かなり絞っています。

 

ーShopee 村松:社内で提案させていただきます

 

加藤様:今後、国内でECを行っている事業者やメーカーが増えてくると、商品画像の数が多いのは当たり前になってくると思います。

 

ーShopee 村松:そうですね。ちなみに、国内では何枚くらいが妥当だと感じていますか?

 

加藤様:例えば40枚くらいあれば良いと思います。

商品の物撮り以外にも着用イメージを想起させるために、お子様の着用画像など1商品あたりに多数の商品画像を用意しております。

 

ーShopee 村松:おっしゃる通り、特に子供服の場合、着用感を伝えるのが難しいですよね。

 

加藤様:そうなんです。社内にスタジオがあるので、モデル撮影を増やして着用画像をもっと充実させようという方針です。

 

積極的なShopeeAdsへ投資とAMS、KOLの活用を視野に

ーShopee 村松:広告投資について、積極的に行っていただいて本当にありがとうございます!率直にShopeeAds(検索広告)について、どのように感じていらっしゃいますか?

加藤様:国内と基本的に同じような広告メニューなので取り組みやすく、少額から利用できるのが良い点です。また、インプレッションやROASなどの指標も管理画面で簡単に確認できるので、進捗を見ながら慎重に予算を増やすことができ、安心しています。まだ始めて3ヶ月なので、国内に比べるとROASは悪いですが、台湾のお客様にブランドを認知してもらう段階ですので、現状のROASは個人的には予想以上だと思っています。

 

ーShopee 村松:それは良かったです。

 

加藤様:売上構成比もビジネスインサイトで確認できます。最初は新規95%、リピート5%ぐらいでしたが、今は新規85%、リピート15%に。広告を活用しながらリピート率も上がっているので、現状としては良い結果が出ていると思います。

Shopeeの広告は効果が出やすいと感じています。AMS(アフィリエイト・マーケティング・ソリューション)についても、アフィリエイターさんに10%のコミッションを設定していても、別のチャネルが貢献した場合はその分のパーセンテージを減らす仕組みで、高いROASを維持できるようになっています。

 

ただ、まだShopeeLiveが実施できていません。もっと簡単にできる方法があれば良いのですが、商品の提供方法が課題です。

 

ーShopee 村松:Liveを行う上で、現在の一番のハードルは何でしょうか?

加藤様:売りたい商品を現地の方にどう渡すかです。発送方法や、KOLの方に後で請求してもらうか、Shopeeで普通に購入してSLSで発送、その後返金する形にできれば良いのですが。

 

ーShopee 村松::今、パートナーを開拓中ですので、随時ご案内いたします。アジア圏ではライブコマースが盛んなので、越境セラーが簡単にライブコマースを行える仕組みを整備中です。

 

加藤様:台湾のモールとCtoCの売上を比較したところ、CtoCの方が市場規模が大きいと聞きました。今後はKOLやインフルエンサーを活用し、フォロワーをターゲットにしたライブ配信を行いたいと思っています。現物の商品ではなくECサイトの画像を使って販売できるなら、それでも良いかなと(笑)

 

ーShopee 村松:確かに、画像を使って「これ、すごく良いです!」と紹介するケースも多いです。今年、日本の越境セラーさん向けに実施したキャンペーンでは、実際の商品を購入してもらって行った例もありますが、画像だとサイズ感などが伝わりにくいです。ただ、スピード重視で進めるなら、それも一つの選択肢だと思います。

 

加藤様:ちょっと試してみたいです!

 

ーShopee 村松:インフルエンサーにはファンがついているので、購入者のリピーター率が高いブランドはライブコマースに力を入れ始めています。新規購入者を増やす段階かと思いますので、貴社も今のタイミングでライブコマースを始めれば、新規の比率を保ちながら拡大できると思います。ShopeeAdsでも良いROASを出していただいていますし、規模の拡大が見込めるのではないでしょうか。そして、これから11.11に向けての本当のピークを迎えるので、どれほどのパフォーマンスが発揮できるか楽しみです。

 

 

今後の展望:実店舗とShopeeのシナジー最大化

ーShopee 村松:最後に、Shopeeだけでなく、今後のEコマースビジネス全般において、どのような展望をお持ちか、差し支えない範囲でお聞かせいただけますでしょうか?

 

加藤様:台湾の実店舗と今回のShopeeで、どれだけ相乗効果が生まれるかを楽しみにしています。実店舗がオープンすることで、台湾国内での認知が広がり、実店舗で購入いただいたお客様がその後ネットで買えるような仕組みを構築したいと考えています。一方で、Shopeeを通じて実店舗への集客もできるようにしていきたいです。また、シンガポール、フィリピン、マレーシアといった他市場への展開も視野に入れています。現在、シンガポールではアカウントを作成し、テストマーケティングを行っている段階ですが、今後は商品の種類を増やし、データを蓄積していきたいと考えています。このデータが今後のグローバル展開の指標になれば良いと思っています。

 

ーShopee 村松:ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします!

 

取材者の感想

ナルミヤ様は、Shopeeに出店するだけでなく、Shopee内の様々なマーケティングツールを活用することで、現地での認知を大変順調に獲得している子供服ブランドのセラー様です。ナルミヤ様との対談を通じ、台湾・東南アジア市場向けのテストマーケティングを行えるプラットフォームとしてのShopeeの可能性を改めて感じました。今後も、現地の「リアル」な需要を確認できる手法の一つとして、日本の様々な事業者様にご活用いただければと思います。

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