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セラー事例
今回は、2021年よりShopeeに出店されているクレスティアさんより取材の機会をいただきました。アカウント担当のShopeeニック、代表の村松と、クレスティアの深田様、髙桑様へインタビューさせていただきました。出店から2年を経たいま、どのように運営されているのかについて伺ってみたいと思います。
<左から、クレスティア髙桑様、Shopee村松>
髙桑様:Shopeeを始めたのは2021年1月からで、いったん全マーケットに展開しました。メインは台湾で1,500商品くらい、全マーケット合わせて現在10,000商品ほど出品しています。カテゴリーは家電や食品をメインで展開しております。
深田様:東南アジア市場はShopeeにお任せしてまして、市場に合わせて商品や物流、価格設定などを最適化しています。WAFUU.comは少しスタイルが違って、多言語対応をしています。ターゲットは北米・ヨーロッパ・中東など様々な言語を話すユーザーで、サイト内コンテンツと商品情報をターゲット層に合わせて展開をしています。現在62カ国に進出しているので、その地域毎に合わせた物流選定をし、配送時間の短縮やコスト削減を行ってユーザーの利便性を高めています。
髙桑様:そうですね。ターゲットに合わせて、品質の高さや知名度を考慮してブランドを選定しています。Shopeeですと20〜40代くらいの女性をターゲットにした場合、年代によって好まれるブランドが違うので、そこを意識して選定していますね!あとは日本セラーという部分を生かして「品質の高いブランド」だったり「信頼性」のあるブランドの選定を行っています。有名なブランドになると競争率が高いので、そこの親和性を意識した選定をしていますね。
Shopeeニック:仕入れは、どのように行っているのでしょうか。
深田様:仕入れに関しましては、多数のメーカーや商社様に越境ECについてご理解いただいた上で、それを応援してくれる企業様にご支援いただいて仕入れている形です。
深田様:この業界は「凄くスピードが早いな」と思うことも多く、異常な速度で流れていて、苦労した点といえば「日々」です。それくらいスピードが早くて、売れる速度や様々なイベントに対して、日々変化が求められるものかなと思っています。変化に順応してすぐに対応することが日常であり、次の変化に向けて着実に進めていくことが大切かなと思います。
深田様:ありますね。特にこの2年間だと円高円安の影響もありましたし、手数料変更もありました。各国の規制も急に変わったりするので、起きたらすぐに解決しないといけない問題も多く、結構苦労しましたね。
髙桑様:そうですね。ポジティブかネガティブかでいうと比較的ポジティブだったのかなと思います。観光客の方が日本に来て実際に購入し、インバウンドの需要に合わせた対策を行うことができるという点では非常にポジティブでした。円安の影響で物価高になり原価が上がってしまうという部分では、すごくマイナスの実感をしていますね。
Shopeeニック:海外から仕入れている物だと円安で原価が上がったりとかですか。
髙桑様:はい。原材料費が上がって値上げラッシュが続いてしまって・・・
深田様:うちの商材もほぼほぼ全部値上げで、苦労しましたね。値上げとのバランスで獲れた所もあるんですけど、そこのバランスを取るのが難しかったです。結構注視しないと難しい感じが続いたのかなというところは、特にこの1年はありましたね。
髙桑様:全体的に他のセラーさんも値上げされていたので、タイムリーに価格を調整して、お客様から「前回と価格が違うよ」という指摘は実際にありましたね。ただ円安の状況や、日本のそもそもの市場価格が上がってしまったという話をすると理解してくださる方が多い印象でした。
髙桑様:台湾はメインとサブの店舗と食品に特化した店舗の3店舗を出しているんですが、それぞれターゲットは変えています。ターゲットに合わせた商品のラインナップやプロモーションの展開方法だったり、お客様のニーズに合わせたサービスを提供できるようにコンセプトは変えておりますね。
Shopeeニック:例えば、メインの店舗で買い物をされた方がサブの店舗に行って購入されたり、クロスセルの効果はありますか。
髙桑様:意図的に店舗名は「WAFUU」で繋がっているので、知っている方はそこから買っていただいたりしていますね。
深田様:WAFUUの認知が進んでいて、なぜか自社サイトからShopeeに関する質問が来ていたり・・・かなり認知度がありますね。グルメの店舗に来てくれる人、メインで買ってくれた人が次はサブでというパターンも増えていますね。
Shopeeニック:そこはメリットですよね。全体的に市場での認知が上がって底上げされるようなイメージですね。
髙桑様:あと送料無料の基準も価格に合わせた設定ができるのもやりやすいですね。
深田様:メインとサブと食品の店舗で利益率も違うので、最適なディスカウントや送料の設定が行えているのかなと思います。
深田様:そうですね。とりあえず、新しい市場にはトライしようというのは昔からありまして、その勢いでずっと進めてきました。フィリピンの話をいただき、とりあえずやってみないと分からないので、まずはトライした段階です。
<在庫確認の様子>
髙桑様:元々Qrestiaは少人数で動いている会社ではあったんですが、「より少人数でも運営できる」体制を整えるために自社システムを強化しました。いろいろなプラットフォームを展開している中で、必要な情報や拡張機能を選定してカスタマイズしています。ですので、自社システムと共に効率よく動いているというような運営体制に変わりましたね。
Shopeeニック:そのシステムというのは、例えば在庫の連携とかでしょうか。
深田様:在庫切れやエラー発生の際にトラブルをすぐに解決できるようなシステム、他にもまだまだ色々あります。
Shopeeニック:ちなみに、そういうシステムを他のセラーさん向けに販売する予定はありますか。
髙桑様:そうですね、弊社はIT企業でもあるので将来的にはですかね・・・?
深田様:選択肢の一つですね(笑)
Shopeeニック:自社で組み上げるのは結構大変なので、他のセラーさんにも需要がありそうですよね。広げていただける方がいれば、他にも色んな方に使っていただけるなと・・・
髙桑様:今は自分たちが使いやすいようなカスタマイズに寄っているので、その場合は渡せるように機能を変えていく必要があると思います。
Shopeeニック:汎用的な機能にということでしょうか。
深田様:今は機能が多すぎるかな?(笑)
髙桑様:そうですね。社内でどういう運営をされるかによって、いろいろなカスタマイズはできます。Shopeeで出店されている方だったら使いやすい方かと思います。
髙桑様:そうですね。実際は5人です。梱包メンバーが2人、運営、カスタマー、バックオフィスがそれぞれ1人ずつという形でやっていますね。
深田様:システムがなかったら多分無理でした。今はShopee以外での出店数も18〜19店舗くらい持っているので。
Shopee村松:チャット対応はカスタマーの方が行なっているんですね。
髙桑様:そうですね。
Shopeeニック:だから月曜火曜は忙しいんですね。
髙桑様:問い合わせは土日に結構溜まりますね。始めた最初の方は土日分の問い合わせ対応に4日間くらいかかっていましたね。
深田様:解消できなくてセールの時は1週間くらい引きずっていましたね。今は1日くらい?
髙桑様:そうですね、今は月曜日にみんなで集中して行なって、火曜日の夕方には落ち着いてくる感じです。2日以内には解消できるようになったので、システムのおかげかなと思っています。
Shopeeニック:運営の改善が素晴らしいですね。
Shopee村松:さすがに、代理業といいますか、例えばブランドさんのShopeeのオペレーションを運用するようなことは、まだキャパシティ含めてビジネスとして考えられていないですか。
深田様:ブランドなら全然あり・・・?まだいけるよね?
髙桑様:いけますね。
Shopee村松:我々Shopeeが新規のセラーさんを開拓している中でお声として多いのが、楽天さんとかで実績を上げられている法人のブランドさんとかは、Shopeeで実績を持っている且つ運用を任せられるところがあまりないというところがネックになっているので、もし今後拡大されていくフェーズの中でキャパがあるのであれば我々と一緒にやっていただけると、と思った次第です!
髙桑様:前回お伝えした説明書は今もやっていまして、要望のあった商品に対しては説明書を作ってチャットで連絡が来た方にお渡ししている状況ですね。注意している点として「トラブルの初期対応力」は非常に重要視しております。チャットで気軽に連絡を取れるので、早くレスポンスすることで早期解決になったりレビューが良くなったりするのを実感しています。あとは法規制ルールの把握は非常に注意しています。ここに関してはお客様から情報をもらうことも結構ありまして、「物流業社さんからこうやって言われたよ」とそのまま伝えてくれることもあったりしますが、Web上に載っている情報を常に確認して意識して把握していますね。
深田様:チャットはお客さんとのコミュニケーションを図りやすいです。例えば、実際に届いたものの使い方が分からないというケースがあった際にマニュアルで対応したり、商品が壊れていると連絡をいただいた際にチャットで動画を送ってもらって、トラブルがスムーズに解決したりするのが良いところかなと思います。
髙桑様:チャットは結構活用していますね。商品でいうと「リンサークリーナー」の水漏れが多いんですが、「中のキャップが緩んでいないか確認してみて」とチャットで言うと、案の定緩んでいることも多くて、それで水漏れが直ったりとかもありますね。
Shopee村松:アフターフォローにまで繋げてらっしゃるんですね。
深田様:人気商材はトラブルをある程度想定できるようになってきましたね。
髙桑様:そうですね、昔よりは落ち着いて対応できるようになりましたね(笑)
深田様:対応しないと返品だとかになってしまうので、そこで防げているのが結構大きいのかなと思っています。
Shopee村松:昨日もお客さんと話していて、「チャットを制する者はShopeeを制する」と仰っていたのでやっぱり大事なのかなと(笑) リテンションマーケティング的に使ってもらうと凄く効果的なんだなと本日お話を聞いて改めて思いましたね。
髙桑様:梱包から出荷までの流れとしてはあまり変わっていないのは正直なところではあるんですけど、その後の返品までのロジックが簡単になったので、台湾とかと比較すると安心度はありますね。戻ってくる場所と今どうなっているかというのが分かるという部分では安心度は高いなと思っています。
<梱包スペース>
深田様:広告については、クリックベースのものを使っています。まだまだ予算を入れても良いかなと思うんですけど、まだ広告の設定をいじれる箇所が少ないんです。例えば「エリア」とか「男女」とかそういうターケティングの部分がまだ無い状態で、「除外設定」も無いです。もう少しターゲティングができたら予算を投入しても良いかなと思っています。今の使い方ですごく成果が出ているので、今後も広告は使いたいなと思います。なのでもう少し機能がアップグレードされたら、どんどん広告を使って売り上げを上げていこうかなと考えています。
深田様:そうですね。
Shopeeニック:そこはShopee側の課題ですね・・・!
深田様:あと注力商品については検索画面とキーワードの結果を見ています。ページを見ている時にどう動くかとか、ライバルの状況(商品、価格帯)をチェックした上でキーワードを選別しています。結構そのパターンでの成功事例が多いんですけど、ダメなものは適宜排除して商品を入れ替えたりだとか、良いものについてはキーワードを追加したりしている状況です。
Shopeeニック:なるほど。他社があまり買っていないようなキーワードで、自社商品で売り出していけそうな物を中心に選ぶということでしょうか。
深田様:はい。なのでやはりメジャーキーワードだと予算が必要になるので、除外設定があればもう少し予算を入れた配信ができるのではないかと思っています。
髙桑様:想定以上でした!その日だけではなくて、その月全体が良かったですね。結構尾を引いてオーダーが後に繋がりましたね。
Shopeeニック:単日ではなくて全体的に上がっているということで、モメンタムの影響は今もありますか。
髙桑様:それが続いたのが1月までですね。本店とグルメとで違うんですが、12月くらいまでは本店の方で、12月から旧正月に向けてお菓子がグルメでは多く、全体で良かったです。
深田様:私たちが今後どうしていこうかと考えた時に、東南アジアはShopeeさんにお願いしているんですが、WAFUU全体としては「世界中どこにいるユーザーでもボーダーレスなショッピングができる」というのを目指していまして、WAFUUでどこでも何でも色んな物が買えるという認識を高めている段階です。今後はその目標を含めて、日本製品とか日本の良い物について継続的に認知度を上げてトータルでWAFUUを広めていく取り組みを継続的に進めていきたいなと思っています。
Shopeeニック:モールや各店舗だけでの取り組みではなく、会社全体で認知を上げる取り組みをされているのでしょうか。
深田様:今は展開国をすごい勢いで増やしている状況です。各国の法規制を追って、トレンド商品を探すということをスピードを上げてやっております。つい最近までは数十カ国だったんですが今は62カ国まで増やしまして、今後も増やしていってさらに相乗効果が生まれれば良いかなというのを目標にやっています。
深田様:越境ECは本当にスピードが早く、急成長している魅力的なフィールドだと思っています。この1年でプレーヤーも増えてきたという印象があるので、越境ECを始める前に目的を意識して、「既存販路の拡大」や「ブランド認知度の向上」など目的に応じて戦略を立てた方が良いのかなと思います。進出前に海外の需要を確認するのが非常に大事で、商品の特徴や販売戦略なども市場に合わせて変える必要があると思います。弊社も意識しているのですが、言語・文化・法律などの違いに合わせたサポート体制が必要かなと思いまして、それを踏まえた上で取り組んだら、すごく成長している分野なので非常に面白いかなと思います。
取材を通して、クレスティア様が出店直後の急成長から手を休めずに運営改善のために努力を惜しまず継続されてきたことがわかりました。また運営面だけではなく、もともと行われていたウェブマーケティングの経験を活かして、マーケットごとの戦略策定をしっかりされていると思いました。今後は他のセラーやブランドも巻き込むようなビジネス展開を期待しております!
ー小畑
店舗情報
台湾:
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シンガポール:
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