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セラー事例
今回取材させていただいたHaruulala organicさんは、ブランド・メーカー直営で店舗を運営されているケースになるので、Shopeeを始めようと決めた経緯や自社で運営するときのヒントなどを聞いていきたいと思います。今回はアカウントマネージャーとしてHaruulala organicさんを担当しているShopeeの川田と共に、Shopeeの海外事業を担当されている石出さまと、Shopeeの店舗運営を行っている蘇さまへインタビューさせていただきました。
<Haruulala organicの石出様>
石出様:2017年に代表の中村が設立した会社になります。中村が会社の出張でバングラデシュに訪れたときに、子どもたちが家計を支えるために働かなければならないという現状を目の当たりにして、バングラデシュの児童労働問題を解決するために弊社を立ち上げました。バングラデシュはもともと縫製が得意な国で、国の産業として盛り上がっています。そこで自社工場を建てて現地のお母さんたちを雇用することで、家庭に安定的な給料が毎月入り、子どもたちがちゃんと学校にいける、働かなくもいい環境を作ろうと考えました。事業モデルから探していた時に、このアパレルにたどり着いたという形です。
石出様:バングラデシュで「安定した」収入につなげるために、夏物や冬物といった季節性を問わず通年して販売できるもの、かつ高単価の価格帯という条件を洗い出したときに、出産祝いに特化したベビー服にたどりついたと聞いています。
石出様:そうですね、通常のベビー服ですと安い商品もあるのですが、出産祝いのギフトとなると5000円から10000円くらいが相場だと思っています。弊社もギフトに特化してマーケティングを行っています。
石出様:Shopeeで買っていただいている台湾のお客様から高い評価いただいているのですけど、付属のギフトボックスがベビー服と同じ、お揃いのオリジナルデザインになっています。箱の品質も高く、ここまでギフト向けにこだわっているブランドは日本でも台湾でも少ないため、お客様に評価していただけているのかなと思います。
<Shopee台湾の店舗で人気の商品>
石出様:私は学生時代にカンボジアへ教育支援を行う団体に所属しており、長期休みのたびに現地を訪問していました。4年生のときには1年間休学して、カンボジアの農村地域でマイクロファイナンスの支援や、学校・塾を開校に携わっていました。ボランティアの財政的な難しさを感じていたときに、ソーシャルビジネスを率先していたボーダレスジャパンについて知り、その中の事業部であったSunday Morning Factoryに入社を決めました。弊社ブランドが2017年に創業していて、私は2018年に入社しました。現在は主に海外販路の拡大を担当しています
蘇様:私の場合、2018年からワーキングホリデーで日本に約1年間滞在していたのですが、当時働いていたゲストハウスにたまたま石出が泊まりにきたことがきっかけです。話していくうちに、この会社のコンセプトが素晴らしいなと思いました。私が台湾に帰国したときに、石出から台湾進出の話を聞き、声をかけてもらいました。今はShopee台湾のカスタマー対応や商品ページの管理などのオペレーションを担当しています。
石出様:そうですね、雑貨のみ日本の工場に委託し製造していますが、それ以外は全てバングラデシュの自社工場で作られています。企画や商品のデザインは全て日本で行っています。コロナが流行する前は、二、三ヶ月に一度は現地に行き、工場のメンバーと商品づくりを行っていました。
石出様:そうですね、プリントの色出が上手くいかないときは何回も工場に通って色を出してもらって、デザイナーのOKが出るまでは、バングラデシュのみんなには頑張ってもらってクオリティーを管理しています。今はコロナで現地に行けないのですが、バングラデシュから送られたプリントのサンプルを確認してから量産する形をとっています。
石出様:ECをメインに販売しています。ECは自社サイト、楽天市場やAmazonに出店しています。実店舗はないのですが、Haruuralaの商品を取り扱っていただけいているオフラインの店舗が全国に100店舗以上あります。海外進出ではShopeeでの台湾向け越境販売が初めてになります。
<インタビューに答える石出様>
石出様:実は2019年にドイツや中国で現地の展示会に出てみたり、市場調査をしたりしましたが、なかなかいいと思える代理店様に出会えなくて… Haruulala organicのブランドの世界観を守りながら商品を広めていくには、誰かに販売をお願いするよりも、なるべくお客様と近い距離に居たいと思っていました。そこで越境ECとして現地モールに出店すれば、カスタマー対応や在庫管理も自分たちでできると分かったので魅力的に感じました。そして海外進出のノウハウを知るために文化的にやりやすいところから始めたいと思っていたので、Shopee台湾へ越境での出店を決めました。コロナの影響もちょうど出始めていた頃で、現地に渡航しなくても日本でオペレーションが全て完結するShopeeさんは本当に始めやすかったです。
石出様:やってみたかったです、自分たちで。やはりブランドの良さを一番知っているのは自分たちだと思っています。効果検証や店舗の購買データも自社のノウハウとしてたまっていくので、そのためにも自社でやるのがいいと思っています。
石出様:Shopeeについて知ったきっかけは台湾人の友達にどこで買い物するのとヒアリングさせてもらったときに、若者の間ではShopeeが一番人気と聞いたことですね。正直全く知らなかったんですけど、よくよく調べてみたら、ユーザー数が一番多いと出てきて、本当だったんだと思いました。Momoか楽天グローバルとも悩みましたが、Shopeeの手数料が完全無料という点が一番大きかったです。現地の消費者へのアンケートも行ったのですが、『出産祝いのギフトをShopeeで買いますか?』という質問にも、『はい』と答える方が多かったので、本当にシェア率が高いんだなと確信を持てました。
石出様: 私たちはメーカーですけど、Shopeeの運営を全部自分たちで簡単にできる点がメリットだと思います。やりたいことは全てセラーセンター(管理画面)で完結するシステムなので、無駄がないというか。商品の登録や販促の方法など、一度やり方を理解すれば、後はいつでも自分たちでできるので、そういう意味では自由度が高くて小回りがきくと思います。
蘇様:私は言語の部分で助かっています。管理画面は英語と中国語に対応しているので、最初は私が中国語・石出が英語で管理画面を確認しながら使い方を勉強しました。Shopeeは日本のスタッフがいるので石出さんもスタッフに直接問い合わせできます。台湾のスタッフの方もいらっしゃって、困ったら中国語で話せるのですごく大事なポイントだと思います。
Shopee川田:普段はLINEで蘇さんとやりとりさせていただいてるのですけども、台湾のチームからセールなどでの露出機会が提供されたときに、ご案内させていただいています。蘇さんから、システムの使い方がわからないというお問い合わせをいただくことが、他のセラーさんと比べて圧倒的に少ないと思います。言語がわかるということで、使いこなしてるんだなと思います。
蘇様:そうですね、Shopeeを始めたころにたくさん質問をさせていただいたので笑 今はキャンペーン参加のお話が多いですね。基本的に私が1人で全てカスタマー対応と管理画面の管理をしている形です。
Shopee川田:現地の言葉がわかる担当者がいらっしゃるというのは強みになります。日本のセラーさんでも、台湾に住んでたことがある方はマーケットを熟知しているので強いです。やはり勘が働くというか、どういった時期に消費者の購買欲が高まるとか、マーケット全体の特徴を理解しているので、言語や文化がわかる方は成功しやすいと思います。この時期はみんなお墓参りにいってるから買い物しないよねとか、肌感覚でわかると、この時期に力を入れてこの時期はちょっと割引を抑えてみたりと自然にできるので。プラットフォームとマーケットの流れに連動して販促をうつと、一番効果が出やすいです。御社は蘇さんがいるのですごく心強いですね。
蘇様:特に意識していなくても、9月9日などのゾロ目のセールではいつも売り上げが伸びますね。その他にも特設キャンペーンページへの掲載なんかも案内していただいています。この前も限定バウチャーのキャンペーン企画に参加しましたが、そのページで提供されているバウチャーはあまり使われなかったですね。川田さんに質問したいのですが、あのようなキャンペーンページでの露出は、Shopee Japanにどんな効果があるのか知りたいです笑
Shopee川田:キャンペーンページは時期やテーマによって、効果が良いものも悪いものもありバラバラですね。一回の露出で効果が出るセラーさんも実際は少ないです。でも御社のようなブランドに一番大切なのは、繰り返しキャンペーンで露出してブランドの認知を上げていくことだと思います。Haruulala organicさんに今までご案内しているキャンペーンは、日本韓国越境の特設ページか、キッズ商品に特化したページになりますが、そのようなページを見ている消費者に対して「このブランド前にも見たことがあるな」という印象をついて行くことが大事です。
Shopee川田:はい、特にブランドのセラーさん、御社のような特別なタイミングで需要がある、っていうブランドさんに対してはそれが大事だと思います。なので今回のようなキャンペーンページから直接購入されなくても、御社商品の印象が残れば、後でベビー服やプレゼントを選ぶ時に、あんな商品もあったよねって思い出していただけると思います。特に御社の商品は、ギフトが必要な特別なタイミングに需要があるので、一回きりの露出ではなく、月一回など定期的に露出枠を活用していただくような販促がいいかなと思います。バウチャーを設定していただくだけで、キャンペーンへの参加は無料ですし、損することではないですよね。
Shopee川田:そうですね、Shopee特別セレクションというページが立ち上がる時があるんですね。そこには食品、キッズ、美容化粧品などのカテゴリー別で露出枠があります。日本越境セラーの中で他にベビー服扱ってるセラーさん少ないため、キッズの枠であれば優先的にHaruulala organicさんにご案内しています。
<Shopeeでのキャンペーンについて>
Shopeeでは頻繁にカテゴリーに特化したキャンペーンが開催されます。キャンペーンのテーマに応じて、該当する日本のセラー様へ商品の露出枠をご案内しています。キャンペーンに参加する場合は、キャンペーン専用バウチャー(割引券)の設定を行っていただく必要がございます。
Shopee川田:割引率を大きくして、最大割引額を少なくすることですね。例えば50%オフの割引率で最大割引額が100台湾ドル(約410円)に設定すると、実質100ドルオフのバウチャーになるんですよ。でも購入者側からすると、「え、50%オフ」といって、ショップを見てくれます。受注までは繋がらないかもしれないですけど、まずは入口を作ってページを見てもらうことが大事です。日本の消費者からすると、せこいじゃないかと思うかもしれないですけど、現地では割と効果的です。
石出様:弊社オフィスの上の階が、商品の梱包したり在庫を置いている倉庫になっています。私たちは翌日発送をしているので、毎日蘇にお客様の住所や購入された商品が分かるリストを共有してもらっています。次の日の朝に、私がそのリストをもとに日本郵便指定の送り状を作成し、梱包チームの方たちが商品の梱包、名入れから発送まで行っています。
<梱包チームの様子>
石出様:国際EパケットとEMSのどちらも使っています。日本郵便が弊社に集荷に来てくれるので、梱包後は下にまとめて置いておくのがルーティンです。最初は送料をおさえるために国際Eパケットのみを扱っていましたが、私自身ギフトをオンラインで買うときに一刻も早く届けて欲しい時があったりしたので、お客さんが選べたらどうだろうと思い2種類選べるようにしました。EMSだとお客様の送料負担が増えてしまうのですが、やはりニーズもあったようでEMSの受注も結構来ています。
蘇様:同じ商品ページ内にバリエーションとして設定していますので、同じページでEMSか国際Eパケットかを選べるようになってます。EパケットとEMSという名前は普通の人には分かりずらいので、商品ページでは「1週間から2週間」と「1週間以内」の2種類と明記しています。
Shopee川田:やられている方はいますね。でもこれだけ分かりやすい表記をされている方はあまり見ないです。購入者側に寄り添っていると感じられますね。
<バリエーションを使用して配送方法を選べるようにしている>
石出様:アカウントを作成したのは4月ですが、それからしばらくはひたすら商品ページ作りばかりをしていたので… 9月くらいですかね、私たちの転機は。初めはShopeeの店舗ページを作り込んで、日本での売れ筋商品を出してみました。すると日本で一番の人気であったベビー服がなかなか売れなくて…蘇や現地の方へのヒアリングをしながら違う商品を出してみたら、スリーパーだったりブランケットだったりと実用的なものが売れ始めました。そこが日本と全然違ったので、日本で人気のものが必ずしも海外でも同じように人気になるとは限らないという発見がありました。
蘇様:私の記憶では忙しくなり始めたのは9月頃ですかね。私の友達にも聞きまわって、もっと実用的なものがいいのかもしれないということで、推しの商品を変えました。中国語の名入れを始めたのもよい影響がありました。
石出様:はい、スリーパーやブランケットにミシンで名前を刺繍するサービスです。今は名入れのカートがあって、お客様がそれを選択された場合、蘇がお客様に何の名前を刺繍するか聞いています。私たちの使っているミシンの全てが中国語に対応できるものではないのですが、そのお客様の入れたい漢字が入れられるかを確認し、できる限り対応しています。
石出様:はい。日本ではローマ字のみ対応しているので、台湾でも初めはローマ字だけでやっていました。私の感覚だと、漢字の名前が可愛いスタイに入るなんて格好悪い気がしていたのですが、漢字は入れられないのですかと、お客様からの問い合わせが想定よりも多いことに気づきました。なんとか漢字を望まれるお客さまの希望を叶えられるよう、ローマ字だけではなくて簡単な中国語の名入れも対応しますと出したら、コンバージョン率も上がってきました。そういう意味でお客様の満足度が上がって、差別化できたのかなって思います。
石出様:そうですね、日本同様、とても人気のサービスになっています。漢字だけでなく日付や文章を入れる方もいます。現状のミシンでは全ての中国語をカバーできないので、今後はさらに改善していきたいですね。
石出様:レビュー見ると本当に嬉しいです。写真付きで肌触りとかギフトの梱包についても一つ一つ丁寧に書いていただき、喜んで下さっている様子が凄く伝わります。バングラデシュのメンバーにも共有しています。
石出様: 私たちは、バングラデシュの児童労働を解決するための商品だから買って下さいという売り方は一切していないので、単純にオーガニックコットンを使っている点や可愛いデザインに惹かれて買ってくださる方が殆どだと思います。ブランドカードを箱の中に同梱しているんですけど、お客様はそれを見て初めてブランドの背景や理念について分かるのかなと思います。でも、そのブランドカードを読んで共感して下さるお客さまもいて、素敵な会社だから応援したいとレビューに書いていただくこともあります。嬉しいですね。
石出様:そうですね。弊社の取り組みとかは今後Shopeeの中でも伝えたいなと思うんですけど、今は主にSNSで活動の様子を伝えています。
<バングラデシュ工場の様子>
石出様:顧客データの取得ですね。日本だとSNSでかなり細かい施策を練って、毎日どのSNSから何人購入したか詳しく分析しています。Shopeeのセラーセンターでは全体の訪問者数と内部広告からの流入は分かるのですが、外部でGoogleやインスタの広告をうったときの効果検証ができないためネックでした。今は蘇がお客様にチャットで、『どこでHaruulala organicを知りましたか?』と、一人一人聞いてデータをとっています。地道な作業ですが各SNSのコンバージョンが分かるので、このデータに基づいて各施策の優先度を決めています。
Shopee川田:それであれば、ぜひShopeeのマーケティングソリューションポータル(MSP)をお使いください。無料で使えて、FacebookやGoogleと連携して、広告によるページ訪問者数や購買コンバージョンなど、外部広告の効果検証が可能となります。
石出様:Facebookの広告でリマケができるようにちょうど進めている最中なので、色々と試してみるつもりです。リマケに注力する理由としては、日本でもリマケからのコンバージョンが結構高いですね。出産祝いのギフトなので、お客様はその場ですぐに選ぶというよりかは、何週間かかけていろんな商品を比較していると思います。悩んでいる最中にリマケの広告を見て購入につながるケースを増やしたいです。
石出様:キーワード広告は出店開始から継続してやってます。Shopeeはユーザー数がそもそも多いので、Shopee内でもある程度ブランドの認知向上が図れるのではないかと考えていました。今は全体の20から30%の方がShopee内の広告経由で購入して下さっています。
石出様:今目指しているのは、Shopee台湾の出産祝いランキングで1位になることです。今月は2位でした。今の1位は台湾現地のセラーなので高い壁ですが、やっぱり1位をとって台湾での知名度をもっと上げたいです。あとは新たなマーケットの開拓と新商品ですね。来年の夏用に新商品を企画しているので、シンガポールなどでの展開を考えています。
Shopee川田:私としては今すぐにでも他のマーケットに出店するのをおススメします。御社の場合はシンガポールにかなり強いと思いますよ。というのも、現時点で日本越境商品のベビー用の食品や食器がシンガポールで売れてるんです。なのでシンガポールでまず出店して商品を置いておくだけでも、ある程度効果が見えると思います。既に御社は台湾で上手く経営が回っているので、言語や文化は違うものの店舗運営のノウハウは一緒のため、スケールアップしやすいと思います。
蘇様:確かに、川田さんがおっしゃったように、とりあえず台湾の店舗で作ってきたものをそのままシンガポールの店舗にコピーすることから始めたいですね。実は、台湾向けのインスタアカウントをオープンしてから、シンガポールと香港のお客様からのお問い合わせ(インスタのDM)が一番多いです。シンガポールと香港ではまだ売ってないので、お客様には申し訳ないなといつも思っています。
Shopee川田:シンガポールとか台湾などの中華圏では、真っ赤とかよりビビッドなデザインの需要もある気がします。マーケットの特徴に応じてデザインを調整できたら、よりブランドとしても大きくしていけそうですよね。
石出様:ありがとうございます。自社工場なので商品に対しては融通が利きますし、これから海外展開する際は、マーケット限定商品も企画してみたいです。
<Haruulala organicのベビー服>
取材を通して、石出様と蘇様の非常に前のめりの姿勢が伝わってきました。購入者にチャットで聞き込んでコンバーションを出したり、物流のオプションを複数用意したり、名入れを提供したりと、地道な努力と多くの試行錯誤が大きな成果に繋がっていると思います。そして何よりも多彩なデザインのベビー服がとても可愛らしい!今後も、リマケの施策や新規マーケットへの出店、そしてマーケットに合わせた新商品の企画など目白押しで楽しみです。
―上地
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台湾: