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【2022年版】越境ECの始め方。自社サイト vs モールのメリットとデメリットを徹底解説
2022.03.10
近年、ますます注目が集まっている越境EC。世界的に見ても、越境EC市場は成長を続けており、今後も可能性のあるビジネスモデルです。
さまざまなブランドや商品が市場に溢れていて、これ以上どうやって売上を伸ばせば良いのか、お困りのECショップ運営者も多いのではないでしょうか。国内での差別化がむずかしければ、売る市場を海外に変えることで、新たな販売のチャンスを得てみませんか?
日本から遠く離れた海外に向けて、商品をオンライン販売するためには、自社サイトとモールを使った販売方法があります。
ここでは、これから越境ECを始めようとする人が、知っておきたい自社サイトとモールのメリットやデメリットをご紹介していきます。
越境ECプラットフォームとしてメジャーなものには、大きく「自社サイト」と「モール」の2種類があります。
自社サイト型とは、他社に依存することのない自社開発のECサイトです。
ドメインの決定、ショッピングカートの構築や支払い方法との連携など、あらゆる要素を自社で設定します。特に、自社でシステムをゼロから作る場合は、リソース次第でデザインや機能を自由に変更できます。
自社サイト型では、サイト設計の自由度が高いことが大きな特徴です。
ここからは自社サイト出店のメリットとデメリットを紹介していきます。
自社サイト出店では、日本語や日本の慣習が通じない遠方のお客様を集客し、トラブルが起きた時でもお客様対応や商品代金の回収まで全て自社で対応しなくてはなりません。
出店先の現地事情に詳しければ、低い費用で自由度も高く運用できますが、そうでない場合は導入のハードルやリスクが高すぎるかもしれません。
越境ECモールとは、複数のショップを1つのプラットフォームに集めたECサイトのことです。ECショップにおける、百貨店やショッピングモールのようなイメージです。
それぞれのショップはモールが定めたルールにしたがって出店する必要がありますが、そのショップ目的で入店したわけではないお客様も取り込める可能性があります。
越境EC出店は難しいことばかりなのかといえば、そういうわけではありません。ここではモール出店のメリットとデメリットをご紹介していきます。
モール出店のメリット
モール出店のデメリット
モールでの出店では、モール独自のルールがあったり手数料がかかります。その分、モールが提供する集客ツールや相談なども利用できるため、すべての施策を自社で行う必要はありません。運用リスクを低く抑えながら、より広い購買層に効率的にリーチできるといえるでしょう。
なお、Shopeeなら現在、初期費用・維持費用が無料となっていますので、リスクも投資費用も少なく越境ECを始めることができます。
自社サイトの作成するには、ドメインの決定、ショッピングカートの構築や支払い方法との連携などが必要となります。あらゆることを自社で理解し、選択していかなければいけない反面、デザインや設定の自由度が高いことが特徴です。
また、越境ECの場合はターゲットに合わせたローカライゼーション(現地化)も大切なポイントとなります。
自社サイトを作成するにはいくつかの方法があります。
ドメインを取得してゼロからシステムを構築していく方法と、ASPやクラウドサービスなどのサービスを使ってECサイトを構築する方法です。
① ASP
ASPとは、共通のECプラットフォームを使ってECサイトを構築できるサービスで、専門知識がなくても比較的簡単に開設できます。BASE、STORESなどがそれにあたります。
共通のプラットフォームを利用するので、サイトのデザイン・カスタマイズ・外部提携に一部制限があります。初期費用は低めに設定されているサイトが多いため、初めてECサイトを開設する人に向いていますが、販売規模が大きなビジネスには不向きです。
② クラウドEC
クラウド上にあるプラットフォームを使ってECサイトを構築できるサービスです。自社のサーバーは持たずに、クラウド上でECサイトを運営できます。Makeshop、ebisumart、Shopifyなどがそれにあたります。
クラウドECは、豊富な機能を備えており、必要な機能を取捨選択しながら自社に合ったサイト構築ができるのが特徴です。
初期費用は100万円〜数千万円と、開設までにある程度の投資が必要ですが、長期的な運用コストはASPよりも低く抑えられ、機能やカスタマイズの自由度も比較的高めです。
③ フルスクラッチ(自社開発)
既存のソフトウェアやシステムなどを用いずに、ゼロからECサイトを開発・構築する方法です。最も自由度が高く、独自性の高いECサイトの作成が可能です。
その反面、開発・構築に非常に長い時間と初期投資費用がかかります。また、自社ですべて運用・管理しなくてはならないため、ランニングコストも高額になります。高い専門知識も必要となるため、専門の制作会社に依頼することになるでしょう。
自社サイト型では、モール型のようにサイトの知名度による集客はできないので、集客施策をゼロから自社で行います。
例えば、検索結果で上位にくるようにSEO対策をしたり、リスティング広告を掲載したりと、効果的な集客をするためにはWebマーケティングの知識が必要です。また、プロモーションやSNSでのコミュニケーションを図ったり、リピート顧客を増やす努力も欠かせません。
越境ECでは、これらの施策は進出したい国やターゲット層に合わせます。海外における顧客行動は、日本とは異なる場合も多いので、どのようなマーケティング施策を行うか注意が必要です。
自社サイト型の運営において、この集客・リピート顧客を増やす活動がいちばん難しいと言えるかもしれません。
「モール型」を始める場合
モール型のプラットフォームを使って越境ECを始める場合、どの国でそのモールが使われているか把握する必要があります。また、それらのモールがどんな商品ジャンルを得意としているかも把握しておきましょう。
ここでは、ユーザーのシェアの高いモール型のプラットフォームをいくつかご紹介します。販売したい国や各モールの特徴に応じて、適切なプラットフォームを選びましょう。
中国の大手EC、アリババグループが運営するBtoC 越境ECモールです。天猫(T-mall)が中国国内の法人向けであるのに対し、天猫国際(T-mall Global)は海外法人向けとなっています。
T-mall Globalでは、品質と安心を求める中間所得ユーザーが多いことが特徴です。そのため、その品質や安心を担保するための、保証金や年会費、手数料などの比較的厳しい出店条件があります。
アメリカに本社を置くAmazonは、アメリカ以外にもイギリス、ドイツ、オーストラリア、インド、ブラジル、メキシコ、サウジアラビアなど世界各国で運営されています。現地展開している国は、2022年現在、日本を除くと20カ国に及びます。
Amazonはユーザー層も幅広く、あらゆるターゲットにリーチすることができますが、スピードや価格での競争力も求められます。出店の際は、英語もしくは現地語の理解が必要となり、現地倉庫に在庫を置いた方が有利となります。
アメリカで設立されたEtsyは、クラフトマンシップをテーマとしたECモールです。ジュエリー、アクセサリー、家具などからアートやヴィンテージ品まで、幅広いジャンルの商品を、世界中に販売することが可能です。
クラフトマンシップを求めるユーザーが集まるサイトのため、手作り品や小規模な生産を行うオーダーメイド品などに向いているでしょう。
EC市場の成長がつづく東南アジア・台湾で最大級のシェアを占める、シンガポール発の越境ECモールです。シンガポール、台湾、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンの6カ国への販売ができます。また、日本からは無印良品や資生堂、ダイソーなどの大手企業も出店しています。
Shopeeでは初期費用・維持費用もゼロとなっており、他の越境ECサイトにはない料金体系となっています。(2022年2月現在 / 日本越境セラー限定)
また、日本語でのサポートや日本からの発送にも対応していたりと、初めての越境EC運営者でも参入しやすいことが特徴です。
ここまで、越境ECの自社サイトとモールについてさまざまな角度からご紹介しました。運用方法やリスクについて、イメージがわいたのではないでしょうか。
日本の文化や習慣は、世界的に見てもとてもユニークです。他国で類を見ないほどの品質へのこだわり、礼儀やルールへの忠実さなど……そうしたユニークさが日本製商品の価値も高めているのですが、その反面、「日本での常識」が海外ビジネスでは通じない場面も多くあります。
初めての越境ECで出店する際は、モールが提供する集客ツールや販売ノウハウを活用して運用した方が、リスクは低いと言えるでしょう。手数料はかかりますが、特に越境ECの場合は、モールへの出店はそれだけの価値があるとも言えます。
また、中華新年やラマダン明けなど、日本ではまだ馴染みの薄いイベントも、人口比で考えると大きな販促チャンスとなっている場合もあります。海外モールでは、このようなイベントで販促を組めるようなキャンペーンをサイト全体で行っていますので、日本にいながら、現地の購買行動の理解も深められます。
ですので、越境ECの始め方としてのおすすめは、まずはモールを活用することです。モールであれば出店に必要なツールが揃っているので、大きな投資をせずとも、小さな規模からでも始められます。
そして販売が軌道に乗り、ビジネス規模が大きくなってきたら、自由度の高い自社サイトと併用してもいいかもしれません。
なお、集客ツールの利用や販促カレンダーなど、モールに出店することで得られるメリットも大きいので、ビジネスが軌道に乗った後も引き続きモール出店と併用していくことがおすすめです。
この記事を書いた人
Natsuko Sakurai
2拠点生活フリーランス。ロンドン、オランダ、スペイン 3ヵ国での在住や現地企業での勤務経験があり、帰国後も海外ビジネスに関わり続けています。コロナ禍をきっかけに、海外にしかオフィスのない現地企業との国際リモートワークが始まったりと、たえず働き方は進化中。