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ECとは?ビジネスの基礎知識から急成長中の越境ECまで徹底解説
2023.01.24
インターネット上でさまざまな商品やサービスを販売できるEC。
あらゆる分野でのデジタル化に伴い、市場規模も右肩上がりのEC市場ですが「どんなECが成功するのか?」と疑問に感じる人も少なくないのでは。
本記事ではECについてビジネスの基礎知識から、近年急成長中の越境ECまで幅広く解説します。
さらに、越境ECプラットフォームShopeeのマーケティング担当者から最新情報を得て、効果的なECショップ運営のコツも解説していきます。
ECとは「Electronic Commerce(電子商取引)」の略で、商品やサービスをインターネット上で取引することを指します。商品やサービスの売買、契約、決済などをオンライン上で完結できるため、実店舗を持たなくてもビジネス展開が可能です。
食品や衣類、雑貨、家電、書籍、チケット、旅行といった商品販売だけでなく、近年では古着や中古品の二次流通も増加傾向にあります。またソフトウェア、音楽、情報サービスなどのサブスクリプションでも活用されています。
インターネット上に店舗を構えるECでは、実店舗よりも初期投資や維持費用がかからないことが特徴。費用面でも低リスクにビジネスを始めることができます。また物理的な制約がないので、世界中のどこからでも運営できます。
ECについての主なメリット・デメリット、そして注意点は下記となります。
ここまでにご紹介したECの特徴をふまえ、ECショップを出店する前に準備したいことや物について解説していきます。
消費者の視点から考えると「商品の比較検討がしやすい」ということがECの大きな特徴です。それを運営者側の視点から言い換えると、「ECショップは常に消費者からの比較検討に晒されている」ということになります。
つまり、他社と差別化できるような独自の存在になることにより、消費者から忘れられないショップとなることができるのです。
価格競争に巻き込まれてしまうと、特に開設まもないECショップでは運営に疲弊してしまいがち。リピーターを確保して息の長い競争力を持ったECショップとなるために、独自のコンセプトが大切となります。何をどのように取り扱うショップなのか、ECショップ運営の土台となるコンセプトを決めていきます。
成功するECショップの運営では、取り扱い商品がターゲット層とマッチしていることがポイントとなります。いくら良い商品でも、ニーズがなければ販売することは難しいでしょう。
コンセプトを決めたら、次にターゲット市場(国や地域)、消費者の年齢、性別、ニーズや悩みなどをはっきりさせていきます。
なお、ECでは運営しながらPDCAを回していくことも大切です。
ショップ開設や運営の費用リスクが低いので、テストマーケティングを兼ねた運営から開始することもできます。
まずは大まかにターゲットを決めて、販売を開始した後の消費者からのリアクションを見ながら都度調整していくことが重要です。なぜなら実店舗とは違って、ショップや商品の見せ方もスピーディーに軌道修正することができるためです。
まずは出店しないことには、消費者からのリアクション(=データ)は得られません。得られたデータを分析することで、より高い精度のターゲティングが可能になります。
その際、既存の競合他社のリサーチ(商品や価格など)も忘れずに行います。競合に負けないような商品の見せ方や価格設定になっているかどうか、適宜見直すことも大切なポイントです。
コンセプトやターゲットを決めたら、いよいよ販売する商品を準備していきます。
ECショップを開設する際には、なるべく多くの「商品数(商品の種類)」を掲載したほうがよいと言われています。なぜなら商品の幅があると消費者のニーズに応えられる可能性が高まり、その結果売上につながりやすくなるためです。
なおECでは、実店舗のようなショップ店員による接客販売はありません。ECショップに掲載する商品写真や説明文が、接客の代わりとなるのです。したがって、商品写真や説明文のクオリティは売上を左右する重要な要素となります。
それぞれの商品について写真撮影や商品説明文を用意する必要があるので、1商品あたりの在庫数をある程度持っている方が、運営の時間対効果は良くなるでしょう。
ECに欠かせないのが配送です。実店舗での接客がないECでは、消費者が商品を受け取る手段が配送となります。ですので、配送が不満足なものだとショップ全体へのイメージダウンにも繋がりかねません。
配送に必要な梱包資材や配送方法をリサーチし、準備しましょう。発送先が海外となる越境ECの場合は、宛先の国での発送禁止品や通関手続きなどの情報リサーチも欠かせません。
なお、送料はEC運営における大きなコストのひとつです。梱包方法を工夫したり、コストパフォーマンスの良い配送方法を見つけることも収益アップのコツとなります。
次に、EC運営に欠かせないWebマーケティングについて解説していきます。
ECの店舗はインターネット上にあります。そのためECでの集客や販売促進において、Webマーケティングは欠かせません。
ECでよく実施されるWebマーケティングについて、実店舗における販売施策と比較し下記の表にまとめました。
実店舗 | EC |
通行人の入店を促す(立地条件や外観を改善) | SEO対策をして検索上位となる |
認知拡大のために広告を出す | Web広告を出稿して閲覧やクリックにつなげる |
ショッピングモール全体で開催している季節のセールに参加する | ECモール全体で開催している大型セールに参加する |
入店客の導線を分析して、店内の商品ディスプレイを変更する | クリック率や離脱率などを分析して、商品ページなどを改善する |
来店がしばらくない顧客へ、再来店を促すダイレクトメールを送る | カゴ落ちした顧客へ「買い忘れはありませんか?」などのリマインドメールを送る |
効率のよい集客施策として挙げられるのが、Web広告。新聞や雑誌などの広告と比べると、最低出稿価格が低いことも特徴です。クリックされなければ費用が発生しないクリック課金型のWeb広告もあるため、まずは試験的に運用することも可能です。
上記に挙げた「SEO対策」や「商品ページの改善」などはECを運用する上で必要不可欠な対策ではあるのですが、結果が出るまである程度の時間がかかります。
短期間に集客を進めたい場合には、広告の力を借りるのもひとつの手です。
例えば越境ECプラットフォームのShopeeでは、Shopee Adsという広告機能を使って売上高が大幅に向上したという事例もあります。主力商品にキーワード広告を利用したことで、閲覧数やクリック数が増え、最終的な購入率も高まりました。
より安定した集客を見込むためには、タイプの違うさまざまな広告を組み合わせ、露出効果を最大化させるという方法もあります。
これまではECといえば国内に向けたものが主流でしたが、市場の急成長により海外へ販売を行う越境ECへの注目も高まっています。
越境ECといえども「インターネットを通じて商品を販売する」という点には変わりないのですが、国内ECとの主な違いを下記にまとめました。
越境ECでは市場規模が異なります。アメリカや中国などでは日本より格段に大きな市場規模を有していますし、急速にデジタル化が進んだ東南アジアでは市場が急成長中です。
日本だけに向けたサービス展開をしている国内ECと異なり、越境ECでは複数の国へ向けた販売も可能です。
例えば、eBayやShopeeといった複数の国での販売に対応しているECモールを活用すれば、一度に数カ国に販売することができます。国によって景気や売れ筋商品も変わるため、色々な市場に向けた販売を行うことで日本にはない可能性を模索することができます。
近年めざましい成長を遂げている、東南アジアのEC市場傾向はこちら。
シンガポール
台湾
タイ
マレーシア
フィリピン
こうした市場傾向をみると、日本にはないビジネスの可能性を感じる人も少なくないのではないでしょうか。
爆発的に販売が加速する「大型セール」も越境ECにおいては欠かせない存在です。
欧米で主流となっているクリスマスやブラックフライデーだけでなく、中華圏の独身の日や春節など、マーケット全体の機運が高まる時期があります。
例えば、東南アジア・台湾エリアでShopeeが2022年度に実施した「ダブルイレブン(11月11日)」のセールでは、日本越境商品のオーダー数が約10倍に増加したといいます。
海外の消費者もこうしたキャンペーンに慣れているため、越境ECを展開するなら大型セールは見逃せません。
顔の見えないECだからこそ、SNSなどのツールを活用して消費者とコミュニケーションを取るのも効果的です。
SNSはECショップの認知拡大を促進できますが、越境ECではSNSはコミュニケーションツールとしても役立ちます。
インスタグラムなどのSNSを活用して、公式アカウントで情報を発信したり消費者とコミュニケーションをとることで売上が伸びたという事例もあるほど。販売中の洋服を着用したり、ライブなどを通じて視聴者からの質問に回答したりすることで信頼の構築や心理的距離が縮まるきっかけになります。
日本と比べて、フレンドリーな対応を好む消費者も東南アジアなどの海外には多いため、リピーター獲得のための施策としてもSNSは有効だと言えるでしょう。
バーチャルショッピングやチャットサービスなどが日本よりも充実している海外市場では、EC運営においてSNSの存在がますます重要となりそうです。
さまざまな分野で活用されているEC。実店舗をもたないインターネット上の店舗だからこそ、場所や時間にとらわれずに低リスクでビジネスを開始できるのが最大のメリットです。
デジタル市場の成長に伴って、今後もECビジネスの可能性は広がっていきそうですが、同時にライバルが増えていることも事実。
飽和状態になりつつある国内市場だけでなく、成長中でまだまだポテンシャルの高い越境ECにも目を向けてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
Natsuko Sakurai
2拠点生活フリーランス。ロンドン、オランダ、スペイン 3ヵ国での在住や現地企業での勤務経験があり、帰国後も海外ビジネスに関わり続けています。コロナ禍をきっかけに、海外にしかオフィスのない現地企業との国際リモートワークが始まったりと、たえず働き方は進化中。