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タイ入門 前編:人気エリア、有名なもの、タイ料理や意外な事実も総合解説
2022.05.17
タイと聞いて、どのようなイメージが浮かびますか?そして、有名なもの言われたら何を想像するでしょうか?
観光、ショッピング、リゾート、グルメからビジネスまで、タイという国にはさまざまな魅力が詰まっています。その魅力は、東西南北に広がる自然豊かな国土や、食文化、長い歴史や宗教など、色々な角度から紐解いていくことができます。
タイという国を知るためのポイントを、厳選してわかりやすく本記事にまとめました。
観光スポットやショッピングだけではない、タイの魅力を意外な事実とともに総合解説していきます。
タイを知る上で欠かせない、国土や民族、通貨、人口、宗教などの基本情報をまとめました。
正式名称はタイ王国。
(英語名:Kingdom of Thailand / タイ語名:プラテート・タイ)
バンコク
(英語名:Bangkok / タイ語名:クルンテープ・マハナコーン※)
※タイ語での正式名称は11語から成る:クルンテープ・マハナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット
青・白・赤から成る三色旗。中央の青は「国王」、白は伝説の白象に由来して「宗教」、赤は「国家と国民の団結心」を象徴しています。
王室への忠誠心、そして信仰心を大切にしている国であることが国旗からも読み取れます。
約6,600万人(2021年12月現在)で緩やかな増加傾向。
うち、首都バンコクの人口は全体の8.3%(552万人)です。
タイ族が約85%、中華系10%、その他に先住民族のモン族、マレー系、ラオス系、インド系など複数の民族がいます。山岳部には、独自の言語を話す少数民族も暮らしています。
公用語はタイ語。英語の普及率は非常に低く、観光客のいない地方ではほぼ通じないと思った方が良いでしょう。
仏教94%、イスラム教5%、キリスト教1%
タイで信仰されているのは、日本の仏教とは違う「上座部仏教」と呼ばれる戒律の厳しい仏教です。
赤道から北緯30度ほどに位置するタイは、熱帯モンスーンの影響を受けて雨季と乾季があります。
国土面積は日本の約1.4倍の約51万4000㎢で、東西南北のエリアによって気候も変わります。
例えばバンコクでは、年間平均気温29.4℃、平均湿度73.4%で、日本の夏のような蒸し暑い気候が年間を通して続きます。雨季は6〜10月、乾季は11〜5月で、雨季にはゲリラ豪雨のようなスコールが毎日のように降り注ぎます。
バーツ(Baht)、補助通貨はサタン(Satang)です。(100サタン=1バーツ)
なお、バーツは「THB」や「B」などの略号で表記されます。
2022年5月現在、1バーツは約3.8円です。
古都チェンマイを中心に、ミャンマーやラオスと国境を接する山岳地帯。長い歴史と深い文化のあるエリアで、世界遺産があるスコータイもあります。
北部最大の都市で、「北方のバラ」とも呼ばれる美しい古都。タイ仏教信仰の中心地でもあり、格式高い寺院のワット・プラシン、ワット・チェンマン、ワット・チェディルアンなど、約120もの寺院が点在しています。
タイ族による最初の王朝、スコータイ王朝が13世紀に建てた都です。世界遺産の「古代都市スコタイと周辺の古代都市群」は、3つの歴史公園からなる広大な遺跡群です。
首都バンコクを中心に、観光やビジネスの要となるエリア。世界中から集まる観光客や駐在員に向けたショッピング、グルメ、ホテルなどがもっとも充実しています。
言わずと知れたタイの首都で、富裕層から庶民までが各地から集まる国際都市。超高級ホテルから屋台、ローカルマーケットまで、さまざまな顔があります。巨大ショッピングモール、レストラン、スパやエステなどの商業施設も充実しています。
観光スポットとしても人気のある寺院も多く存在しています。エメラルド寺院として知られるワット・プラケオや、三島由紀夫の小説の舞台ともなったワット・アルン(暁の寺)などが有名です。
エメラルド寺院の隣には、タイで最も権威のある王宮もあります。
水上マーケット、ウィークエンドマーケット、ナイトマーケットなど、さまざまな魅力のローカルマーケットがあり、地元の人から観光客まで集まります。
小さなボートで商品や料理を運ぶ水上マーケットは、タイの伝統的な買い物スポットでもあります。
14世紀のアユタヤ王朝建国から約400年栄えた都で、世界遺産の「アユタヤ遺跡」が有名です。チャオプラヤ川などに囲まれ水運も盛んで、17世紀にはヨーロッパや東アジアとの国際貿易でも繁栄しました。
マレーシアと隣接し、海に囲まれた南部には、アジア屈指のビーチリゾートや自然いっぱいの島々が点在しています。
アンダマン海に浮かぶ、世界有数のリゾート地としても有名なタイ最大の島。エメラルド色の海や白い砂浜が広がり、人気の観光地です。
島全体がココナッツの木で覆われた、タイで3番目に大きな島です。別名は「ココナッツ・アイランド」。環境に配慮した開発が条例で定められているため、自然と調和したリゾート地でもあります。
プーケットから船で東に2時間ほどの距離に、6つの島からなるピピ諸島があります。珊瑚礁に囲まれた島々には透明度の高いラグーンもあり、どこか神秘的な魅力があります。
タイで有名なものにはどんなものがあるでしょうか?
有名となった理由や背景がそれぞれあり、ここでは意外な事実もあわせて解説していきます。
タイには、なんと3万5千以上の寺院が存在しています。
タイの長い歴史を支える13世紀のスコータイ王朝をはじめとした数々の王朝や、仏教への信仰心の高さを反映しています。
また、世界的に有名な寺院も多く、バンコクのワット・プラケオ(エメラルド寺院)、ワット・アルン(暁の寺院)をはじめ、世界遺産に登録されているスコータイ、アユタヤ、バンチェン遺跡にも重要な寺院がいくつも点在しています。
寺院は信仰の場としてだけでなく、特に地方ではコミュニティーの中心として、人々が交流する場としても大切な存在です。
国民の94%が仏教徒のタイでは、生活のあらゆる場面に信仰の影響を感じることができます。
インド発祥で、戒律の厳しい上座部仏教が信仰されており、あちこちで熱心に祈りを捧げる人を見かけます。
寺院の多さと比例して、タイの僧侶人口は約40万人とも言われ、戒律の厳しさから人々から尊敬を受ける存在でもあります。
外食文化が主流のタイでは、朝食から全て外食という人も珍しくありません。そんな外食文化を支えるのが、タイの屋台です。
数え切れないほどあるタイの屋台では、パッタイ、カオマンガイ、ガパオライスなど、さまざまなストリートフードが食べられます。
なお、タイの屋台文化を理解するうえで、タイは世界でも有数の格差社会であることも知っておくとよいでしょう。バンコクなど都市部のアパートでは、高級マンション以外キッチンがないのが普通です。料理を作るのは、周りに飲食店や屋台がない地方の場合か、自宅にキッチンのある中間層以上の人たちです。
アンダマン海、タイ湾という2つの海に面したタイには、1,430もの島があります。
プーケット島、パンガン島、ピピ諸島、サムイ島、サメット島など、船や飛行機で数時間かけて行くものからバンコクからほど近い場所にある島までさまざま。ビーチリゾートを目指して観光客が多く訪れる島々が有名ですが、手つかずの自然が残る島も中にはあります。
バンコクなどの都市部で主要な交通手段となっている三輪自動車によるタクシーです。ドアも窓もないカラフルな車体で、渋滞の続く道でも自動車の間を走り抜けていくアイコニック的な存在です。
どこにでもいるわけではなく、主要な観光地やホテルの前など、観光客が多そうな場所に停まっていることが多いようです。
洋服、格安の電化製品、お土産など、タイはショッピングでも有名です。
特にバンコクには、巨大なショッピングモールが多く集まり、サイアム・パラゴン、セントラル・ワールド・プラザ、マーブンクロンセンター(MBK Center)などが有名です。世界的な高級ブランドを取り扱うモールから、タイらしいローカルな雰囲気があふれる老舗モールなどさまざまです。
また、水上マーケット、ウィークエンドマーケット、ナイトマーケットなどのローカルマーケットも地元の人だけでなく観光客にも人気です。ローカルマーケットでは、タイならではの格安品をたくさん見つけることができるでしょう。
全身をほぐして血行を促進するタイ古式マッサージは、仏教と深いつながりのあるタイの伝統的なマッサージです。
そのルーツは今から2500年前、インドからの仏教伝来とともに、タイへ来た僧侶を通じて伝わったとされています。
凝りをほぐす指圧だけでなく、施術者と二人三脚となって全身を曲げ伸ばしするダイナミックなストレッチが特徴です。
タイの国技であるムエタイの歴史は古く、13世紀には軍隊でも取り入れられていたという伝統あるスポーツです。
グローブをつけて裸足で行うタイ式キックボクシングです。スタジアムでのムエタイ観戦だけでなく、近年はジムでの体験トレーニングも人気があります。
100年前はタイの国旗に大きく描かれていた象は、タイの国獣でもあります。
王の乗り物、信仰の対象、そして林業での木の運搬や切り出しの働き手として、タイの人々にとって象は古くから重要な存在でした。
なかでも白い象はブッダの化身とされ、「白い象を発見したら、王に献上しなければならない」という法律があるほどです。
その他、タイの有名なものとして欠かせないのが「バックパッカー」「パーティー」「交通渋滞」です。
格差社会であるタイは、低予算での生活も可能で、世界中各地からバックパッカーが集まることでも有名です。
また、世界三大パーティーと呼ばれるパンガン島のフルムーンパーティーを筆頭に、野外フェスティバルなどの音楽イベントも多く開催されています。南国らしく、バーやナイトクラブなども人気があります。
そして、タイの都市部で悩みの種となっている交通渋滞も有名です。なかでもバンコクは、BBCによる世界の渋滞都市ランキングでワースト1位になってしまったこともあるほど。交通量に対して道路が非常に未発達のまま、車の所有台数が増えたことなどが理由です。
タイ料理は、豊富な食材やさまざまなスパイスを多用したりと奥が深く、タイだけではなく世界中で多くのファンがいます。
ここでは、タイの文化を説明するうえで欠かせないタイ料理について、その成り立ちや背景も含めて紹介していきます。
タイ料理の味を一言で言うと「複雑」です。レモングラス、パクチーなどのハーブやさまざまなスパイスを多用し、蒸し暑い熱帯気候でも食欲増進、消化促進、代謝向上ができるように工夫されています。
タイ料理は次の5つの味覚と香りを組み合わせていることも特徴です。
東西南北に風土豊かな国土が広がるタイでは、代表的な料理もエリアによって異なります。
タイ料理は大きく、北部、東北部、南部、中部の4つに分けられます。
脂が多めで、マイルドな味付けが特徴。隣国のミャンマー、ラオス、中国や山岳民族の食文化の影響を受けて、他エリアのタイ料理よりも辛くなく、味付けは最もマイルドです。
サイウア(ハーブソーセージ)やカオソーイ(揚げカレーラーメン)などが有名です。
別名イサーン料理と呼ばれる東北部料理は、辛味と塩味が強いのが特徴。料理は隣国のラオスやカンボジアの影響を受けており、イナゴやバッタなどの昆虫も欠かせない食材です。また、農業が盛んで畑の用水路で採れる魚もよく食べます。
ソムタム(青パパイヤのサラダ)、ラープ(ひき肉サラダ)、ガイヤーン(鶏炭火焼き)などが有名で、もち米とともに食べます。
海に囲まれたエリアのため、魚介類を豊富に使った料理が有名。また、辛さに慣れているはずのタイ人も「辛い」と言うほどの刺激的な辛さも特徴です。辛さと酸味、塩味が大変強く、他のエリアとは違って甘味はほぼありません。隣接するマレーシアのイスラム文化や、船で渡ってきた南インドの食文化の影響も受けています。
ゲーンタイプラー(魚の内蔵を使ったカレー)、ゲーンマッサマン(イスラムの影響を受けたイエローカレー)、カオヤム(ライスサラダ)などが有名です。
王朝時代から長いあいだ首都のある中部では、タイ各地や外国の食文化が流入し料理も影響を受けてきました。味付けは比較的マイルドで甘味があり、うるち米と一緒に食べるのが特徴です。また、宮廷料理も代表的な料理のひとつです。
トムヤムクン、グリーンカレー、トムカーガイ(鶏肉とココナッツミルクのスープ)など、観光客にも人気の料理が数多くあります。
以上、タイ入門前編では、タイという国を知るうえで大切となるポイントを多面的にご紹介しました。
歴史や地理、宗教などの背景と絡めて知ることで、王朝時代から続く長い歴史、自然豊かな地理、仏教との深い関わりが日常生活にまで深く影響していることを感じ取れたのではないでしょうか。
タイ入門 後編では、タイのEC事情など、より現代のビジネスに近い情報をお伝えしていきますので、お楽しみに。
この記事を書いた人
Natsuko Sakurai
2拠点生活フリーランス。ロンドン、オランダ、スペイン 3ヵ国での在住や現地企業での勤務経験があり、帰国後も海外ビジネスに関わり続けています。コロナ禍をきっかけに、海外にしかオフィスのない現地企業との国際リモートワークが始まったりと、たえず働き方は進化中。