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ブランディングの成功事例5選を紹介!ポイントや注意点も詳しく解説
2022.05.11
消費者が商品やサービスを選択する上で、ブランディングは重要な判断材料の1つとなります。
例えば、靴を買うなら〇〇といったように特定のブランドを購入する方も多いのではないでしょうか?
このような形で消費者に信頼感を持たせるブランディングですが、ブランディングの対象は商品やサービスだけでなく、企業イメージに対してなど、幅広く用いられます。
今回は、そんなブランディングでの成功事例を5選、ブランディングの成功ポイントや注意点とともに紹介していきます。
ブランディングの成功事例を知り、自社の企業活動に活かしていきたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
ここでは、実際に経営不振などの不調状態から売上向上などの成果に導いた成功事例について解説していきます。
具体的に、以下の5社の事例を紹介していきます。
ドミノピザは、アメリカで有名な企業であると同時に、世界に最も多く店舗を展開するピザチェーン店としても数多くの人に親しまれています。
知名度の高いドミノピザですが、2009年には従業員によるピザを使った悪ふざけの動画が公開されたことをきっかけに炎上し、売上が大幅に下落するなど厳しい時期がありました。
そこで、ドミノピザはブランドの信頼を回復するために「リブランディング戦略」を立ち上げ、販売するピザの徹底的な見直しとマーケティング戦略の転換を実施しました。
具体的には、ドミノピザ利用者に対して大規模なアンケートを行い、アンケートから得られた意見をもとに、ピザの味などを含めてブランドイメージの改善を行いました。
また、ブランドイメージの回復のために「ソーシャルビデオ戦略」も実施しました。
具体的には、ウェブサイト上にドミノピザの利用者にピザに対する意見や感想を語ってもらった動画を公開し、利用者の生の声を届けるようにしました。
こうした施策が功を奏し、ドミノピザの信頼を徐々に回復するとともに株価も
2009年以降現在に続くまで上昇し続けています。
レゴは「レゴブロック」でお馴染みのデンマークで創業された玩具を販売する会社です。
2017年にはレゴブロックをテーマとした「レゴランド・ジャパン」が名古屋にできたことでも話題となりました。
今では多くの子供たちから親しまれるレゴ社ですが、2004年には日本円にして約310億円の赤字となっており、一時は身売りの噂が流れるほどの経営不振に陥っていました。
主な原因は、他のテレビゲームのような娯楽が登場したことなどによるシェアの低下や、有名映画とのコラボシリーズの大半が失敗に終わったことによるものです。
こうした危機的状況を打開するために、2004年からレゴのリブランディングを開始することとなります。
具体的には、「NPS(ネットプロモータースコア)」と呼ばれる顧客ロイヤリティを測る指標を導入することで、レゴの商品や企業に対するブランドとしての愛着や信頼を数値化し、問題点の継続的な改善に着目していきました。
さらに、子供だけではなくその親に対してもレゴの魅力を伝えるために独自のデジタルチャネルを用意し、顧客からのフィードバックをより多く収集できる体制を構築しました。
こうして、顧客からのフィードバックをもとにブランドの改善を行うことで、徐々に経営状態が回復に向かい、2017年にはForbes誌の「世界で最も有力なブランド・ランキング」で1位に選ばれる程の企業となりました。
旭酒造「獺祭」もブランディングによって復活を遂げた事例といえます。
旭酒造は日本の山口県にある酒造メーカーであり、現在では自社の持つブランドである日本酒「獺祭」のみを販売しています。
今でこそ「獺祭」は有名な日本酒ブランドですが、「獺祭」を立ち上げる前までの旭酒造は倒産寸前の経営危機状態にありました。
理由としては、焼酎ブームなどにより日本酒離れをする人が多かったことや、ブランディングやマーケティング戦略そのものにあまり力を入れられてなかった点が挙げられます。
こうした経営危機状態を打開するため、旭酒造は東京での新市場を開拓するため「獺祭」のブランドを立ち上げました。
特に注力した点としては、「明確なコンセプトの決定」と「消費者の感性に訴える」の2点が挙げられます。
「明確なコンセプトの決定」に関しては、リーズナブルで手の届きやすい純米大吟醸をコンセプトとしており、コンセプト実現のため以下の点に注力しています。
また、「消費者の感性に訴える」部分では、獺祭のラベル作成を地元山口県出身の書道家に製作を依頼したり、大手車両メーカーでもあるメルセデスベンツのオフィシャルスポンサーを務めるなど、日本酒のイメージを変えるようなブランドイメージ構築を行っています。
このようなブランディング戦略によって、旭酒造は経営危機を脱するだけでなく、ニューヨークやパリの飲食店でも扱われるなど、国を超えて愛されるブランドとなりました。
シーブリーズは1902年にアメリカで誕生した化粧品ブランドであり、日本では資生堂が販売を行っています。
シーブリーズは夏のデオドラント用品として広く認知されていますが、かつてはブランドの存続危機に陥るほどの状況となっていました。
主な理由としては、時代の流れと共に若者の海離れが進み始め、海で使うイメージが定着していたシーブリーズを使う機会が減ったことによるものです。
これまでのブランド戦略では危機的状況を打開できないことから、ブランド戦略の大きな転換を行います。
具体的には、ターゲットとコンセプトの見直しをはかりました。
制汗剤を多く使う女子高生をターゲットとして再設定し、コンセプトも「海辺やマリンスポーツ後の汗のケア」から「部活後の汗のケア」に変更。
女子高生へ向けてプロモーションを行う上で、それまで青が基調だったパッケージからピンクやオレンジといった女性向けのパッケージデザインに変更するなど、これまでのブランドイメージを一新しました。
こうしたブランディング戦略が功を奏し、女子高生のシーブリーズ使用数が大きく伸び、経営危機を脱するだけでなく、今なお愛され続ける夏のデオドラントブランドとして確固たるポジションを確立しました。
最後に紹介するブランドはエスエス製薬が販売する「ハイチオールC」です。
ハイチオールCは元々2日酔い対策として使用される薬として売り出され、中高年男性を対象として販売されていました。
しかし、2日酔い対策の商品は当時ですと数多く発売されており、競合とのシェア争いに遅れをとってしまったことから売り上げが低迷する時期がありました。
売り上げ低迷の状況を打開するために、エスエス製薬内でブランド再構築のプロジェクトを立ち上げることとなります。
具体的に行ったこととしては、ターゲットとコンセプトの変更です。
元々ハイチオールには体のダルさをとる2日酔い対策としての効果と、シミやそばかす対策としての美白効果の2種類がありました。
エスエス製薬が実施した消費者調査の結果、「肌ケアが外側のみならず内側からのケアも重要であると消費者は感じている」ことがわかりました。
そこで、ハイチオールの美白効果の部分を全面に押し出し、ターゲットも中高年男性からシミやそばかすに悩む女性に変更。
テレビCMにも女優を起用したり、パッケージもより化粧品のイメージに近づけるため高級感や洗練された雰囲気を取り入れて変更したりと、徹底的に女性の感情に訴えかけるブランディングを行いました。
その結果、美白用として発売した「ハイチオールCホワイティア」はハイチオールCシリーズの中でも大きく売り上げを伸ばし、ハイチオールCシリーズ全体の売上も大きく向上させ、危機的状況を脱することに成功しました。
ここでは、上記で紹介した成功事例をもとに、ブランディングを成功に導くための方法について解説していきます。
具体的には以下のポイントが重要といえるでしょう。
まず1つ目がブランディングにおける問題点を可視化させることが挙げられます。
先ほど紹介した事例において、レゴ社ではブランディングにおいて何が問題であるかを可視化させるために、NPSを導入しブランディングの数値化を行って問題点を洗い出していました。
ブランディングがうまくいかなくなった時に、どの部分に問題点があるのかを把握できなければ、改善することができず、現状を打破できません。
問題点を把握するためには、客観的な指標を設けることが重要であり、自社のブランディングの問題点を正確に把握することができます。
2つ目が時代に合わせたブランディングの見直しを行うことです。
上記の事例を見てみても、消費者のニーズは時代の変化とともに変わり続けていきます。
一度成功したブランディングも時代の流れと共にニーズがなくなり、売り上げが落ちてしまうこともあります。
既存のブランディングがうまくいかなくなった時には、現在の市場における需要を正しく把握し、売り上げを伸ばせる方向にブランディングを見直していくことが大切です。
ブランディングでは消費者の感性に訴えることが重要です。
上記事例からもわかる通り、ブランディングを行う上で消費者の感性に訴えることを目的としてさまざまな戦略を展開しています。
消費者は製品の特性を理論的に比較して選択するだけでなく、「好きか嫌いか」という感性的な部分で判断するケースも多くあります。
そして、消費者の感性に訴えることができれば、商品特性以外の価値基準を消費者に対して提供でき、競合との差別化も行いやすくなります。
ここでは、ブランディングを行う上での注意点について解説します。
具体的には以下の2点が重要と言えるでしょう。
ブランディングでは、成果を主体的に判断しないことが注意点として挙げられます。
ブランディングではイメージ戦略など人の感性に訴えかける施策も多く、正しく成果を判断するためには客観的な指標を用いることが大切です。
定期的に利用者に対してアンケート調査を行うなど、具体的な数値で把握するようにしましょう。
すぐに成果を期待しないことも注意点と言えるでしょう。
ブランディングで実施する施策には、短期的に効果が現れるものは少ないです。
そのため、中長期的に取り組むことを前提とする必要があります。
短期的に成果が出なかったからといって施策をやめてしまうと、本来得られたはずの成果を得られず大きな損失となってしまう可能性があります。
ブランディングの成功事例をみてみると、正しく現状を把握し自社の課題点を解決できる適切なブランディングを行えているかが重要といえます。
客観的な指標を用いて、自社のブランディングが成果に繋がっているかをしっかりと把握し問題点を改善させることで、効果的なブランディングを行っていきましょう。
この記事を書いた人
H.F
マーケティング分野を中心に複数のメディアで記事を執筆しているフリーランスのWebライター。
製薬会社での勤務経験もあり、医療・健康関連の記事執筆なども行っています。
自分を一言で表すと:地道でマイペースな努力家