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ビジネスを成功させるコンセプトの決め方とは?設計方法や手順も解説
2022.06.13
企業が商品やサービスを販売していく上で、不可欠な要素としてコンセプトを設定することが挙げられます。
しかし、いざコンセプトを決めようと思っても、闇雲に設定してしまってはビジネスの失敗を招く恐れがあります。
実際に、自社の商品やサービスのコンセプトを決定しようとしても、どのように決めたらいいかわからず悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、ビジネスを成功させるコンセプトの決め方について、具体的な手順や実例も踏まえて解説していきます。
コンセプトを決めたいけれど、どう決めたらいいか分からずに悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
そもそもコンセプトとは、直訳すると「概念」や「発想」という意味を指します。
そして、ビジネスの現場においては、商品やサービスをはじめとした様々な企画やプロジェクトにおける基本的な方向性であったり、枠組みといった意味で使われる場面が多いです。
セミナーや展示会などのイベントの場面でも、必ずコンセプトが定められています。
こうしたイベントもまずコンセプトを決めてから、当日に行われるプログラムの構成や内容などを決定して実施されるのが一般的です。
例えば、直近で開催された一大イベントである東京2020オリンピック・パラリンピックには以下3つのコンセプトが定められていました。
上記のコンセプトを定めているからこそ、コンセプトを実現するための大会の構成や運営の方針が定まり、そこに沿って大会が開催できるため、コンセプトの決定は非常に重要なものとなります。
ここでは、コンセプトを決めることがなぜ重要なのかについて解説していきます。
具体的には、以下の点でコンセプトが重要だと言えるでしょう。
1点目は、商品やサービス全体にコンセプトが影響を及ぼすためです。
先ほども紹介した通り、商品やサービス、イベントなどあらゆるものにおいて、まずコンセプトを決めることから始まります。
コンセプトでは、どのような商品やサービスにすれば社会に役立ったり、顧客のニーズに当てはまるかなどの、商品やサービス自体の存在意義を決めることとなります。
そして、コンセプトが決まれば、それを実現するためにどのような「機能」が必要かを考えて設計し、どんな姿や形のものにするかといったデザイン面も考えていくという流れになるでしょう。
そのため、商品やサービスを作り上げていく上でコンセプトは全ての工程の土台となります。
なぜなら、コンセプトは商品やサービスの在り方自体を決定していくものなので、その在り方が変われば必然的に、機能面やデザイン面も変わってくるからです。
こうしたことから、コンセプトは商品やサービスのあらゆる面に影響を与えるため、非常に重要な工程の1つと言えるでしょう。
2つ目は、コンセプトが消費者における価値を決定するためです。
そして、その価値を消費者が認識してメリットを感じることで、初めて商品やサービスを利用するという流れとなっています。
例えば、今では多くの人がもつスマートフォンですが、これまで電話という存在すら知らなかった原始人がスマートフォンを手にした場合、その価値を感じることはないでしょう。
なぜかというと、原始人にとってスマートフォンは狩猟や農作などにも使えない、ただの黒い物体でしかないからです。
そのため、初めは物珍しさに手に取ることはあっても、いずれ利用価値のないものとして手放してしまいます。
このように、商品やサービスはこういうものだというモノの在り方を認識されて初めて価値が生まれます。
こうしたモノの在り方を決定するのがコンセプトであり、コンセプトが定まっていないとそのモノの価値を消費者が感じることはありません。
そのため、商品やサービスの価値を生み出すためにもコンセプトを定めることは重要であり、最も注力すべき工程と言えます。
ここでは、実際にコンセプトをどのように決めるのかについて、その手順を紹介していきます。
具体的には以下の手順に沿って行います。
まずは、競合や市場の調査を行うことから始めていきます。
調査を行うことで、自社の商品やサービスを競合と比較した際に、「魅力的な価値」を届けられる状態にしてから市場にリリースすることができます。
また、調査のポイントとして、競合や市場だけでなく、自社に関しても調査を進めることが大切です。
自社の調査を行う理由は、消費者から客観的にどのように見られているかを把握するためです。
尚、調査を行う際は客観的な事実と消費者から抱かれている解釈を分けて、結果をまとめることをオススメします。
調査内容を参考にしてコンセプトを決める際に、事実と解釈が混在する調査内容となっていると、情報を見るときに混乱してしまう可能性があるからです。
調査をしっかりと行うことで、競合との関係性や顧客が求める利益を満たすものが何かを可視化することができ、自社のポジションを明確にさせることができるため、非常に重要なステップと言えます。
競合や市場の調査を行ったら、次にターゲットの選定に入ります。
コンセプトは消費者への価値を決定する要素でもあるため、どういった人に価値を提供したいのかというターゲットを選定した方がコンセプトも決めやすいです。
また、コンセプトを決める際にターゲットが選定されていないと、商品やサービスに特徴が出にくく、結果どのような価値があるものなのかが分かりにくくなってしまいます。
ターゲットを決める場合には、年齢や性別、職業、住所など細かく条件を決めていくことで、ターゲットの人物像をより明確にすることができるでしょう。
ターゲットを選定したら、続いてターゲットが抱える課題を明確にしていきます。
このターゲットの課題とは、ターゲットが普段感じている不満や不便な部分などのマイナス要素のことです。
こうした不満や不便さの裏には、「こうであってほしい」という理想が隠れているため、ターゲットが感じているマイナス要素を洗い出していきます。
具体的には、業界や競合に関して不満や不便さを感じていることや、自社に関するマイナス要素も洗い出しましょう。
出てきたマイナス要素に関しては、可能な限りどの部分にマイナスな印象をもたれているか具体化した方が、コンセプトを決める際の参考になりやすいです。
課題を洗い出したら、続いて解決方法を検討していきます。
この解決方法は、実現可能性の高いものを検討する必要があります。
なぜかというと、仮に課題に対する解決方法を設定できたとしても、実現が困難なものを設定してしまえば、実際に商品やサービスとして提供できないことはもちろん、関係者からも理解を得ることができません。
この辺りの話は、会社ごとの考え方にも何が合理的であるかの判断基準は異なってくるため、会社としてどのようなことを大事にしているかをベースに考えていくことが大切です。
最後に検討した解決方法や理想像を抽象化したキーワードで表現していきます。
抽象化したキーワードで表現するとは、各解決方法や理想像に存在する共通項を見つけ出して、それらを言葉として表現していくことです。
例えば、任天堂の商品コンセプトとして「お母さんに嫌われないゲーム」というものがあります。
これは、任天堂の商品が家族で楽しめることや省エネの機能、健康になれるゲームなど複数の要素で構成されているため、共通する要素を取り出した抽象的なキーワードとして「お母さんに嫌われないゲーム」というコンセプトが設定されています。
このように解決方法や理想像を抽象化することで、商品やサービスの世界観を統一でき、消費者に伝わりやすいコンセプトが決められます。
ここではコンセプトの実例を紹介していきます。
具体的には以下の5つのコンセプト例を紹介していきます。
【引用 】ダイソン
1つ目は、ダイソンの商品コンセプトについて解説していきます。
ダイソンは掃除機を主に販売するメーカーですが、商品コンセプトとして「吸引力の落ちないただ一つの掃除機」というコンセプトを掲げています。
掃除機に求められている機能である「吸引力」に関して、他の追随を許さない高機能な商品であることを一言で表しており、消費者に吸引力という価値を提供できる商品であることを明確に伝えられている事例と言えるでしょう。
また、ダイソンは掃除機として他社製品よりも高価ではありますが、こうした商品コンセプトに沿った高い機能を有していることから、掃除機としての販売シェアは国内でも高い値を示しています。
【引用】バーミキュラ
2つ目は、バーミキュラのコンセプトについて解説していきます。
バーミキュラは、「暮らしをかえる鍋」というコンセプトを掲げていますが、販売価格は3万円と非常に高価です。
こうした高い販売価格であるにも関わらず大ヒットを記録した要因として、コンセプトを体現した高機能な鍋であることが挙げられます。
具体的にはステンレスとホーローの良い部分を組み合わせて作ることにより、気密生と保温性の高さを両立させることで、食材の旨味を最大限引き出せる鍋として高い評価を受けました。
こうしたことから、バーミキュラは「暮らしをかえる鍋」というコンセプトのもと、家庭の味を最大限高めるという価値を消費者に提供し、成功した例と言えるでしょう。
【引用】スターバックス
3つ目は、スターバックスのコンセプトについて解説していきます。
スターバックスは、「サードプレイス(第3の場所)」をコンセプトに掲げたカフェで、コンセプトの通り、コーヒーではなく空間を提供するカフェとして人気を博しています。
そのコンセプト通り、スターバックスに入ると、その独特なデザインから非常におしゃれで過ごしやすい空間を実現しており、長時間滞在する方も多いです。
さらに長時間滞在することを前提としているため、Wi-Fiも全店舗で完備しており、快適に過ごせるカフェとなっています。
こうしたコンセプトに基づく空間提供が消費者の心をつかみ、スターバックスは全世界に展開する人気のカフェとして成功しています。
【引用】ココナラ
4つ目は、ココナラのコンセプトについて解説していきます。
ココナラは仕事を依頼したい人と受けたい人をマッチングさせるサービスで、「知識やスキルを500円で売り買いできる」ことをコンセプトとして掲げています。
こうしたマッチングサービスは、他にも多く存在しますが、ココナラはコンセプト通り500円という手ごろな金額で発注ができるため、多くのユーザーから人気を獲得したマッチングサービスです。
ココナラはマッチングサービスとしては後発でしたが、コンセプトを決める際の調査をしっかりと行い、競合との差別化を軸にコンセプトを設定したことから、多くのシェアを獲得できた成功事例と言えるでしょう。
【引用】スシロー
5つ目は、スシローのコンセプトについて解説していきます。
スシローは、子供からお年寄りまで幅広い年代に愛される回転寿司チェーンですが、「うまいすしを、腹一杯。」をコンセプトとして掲げています。
従来は、寿司は高級な食べ物として特別な時にしか食べないというイメージでしたが、スシローが掲げた1人でも多くの人に寿司を食べてもらいたいというコンセプトから、裕福でない人でも手の届く価格帯で寿司を提供しました。
そのコンセプトから、富裕層ではなく、一般家庭や学生といった広いターゲットに狙いを定め、多くの消費者から支持されるようになります。
そして、安いだけではなく、寿司のうまさにもこだわっており、魚の鮮度管理などを徹底することで、安さとうまさを両立させています。
スシローは、コンセプトを掲げて、選定したターゲット層から多く支持を得られた成功事例と言えるでしょう。
商品やサービスをはじめとして、消費者に何かを提供する際には、コンセプトの設定が非常に重要となります。
コンセプトの良し悪しで、商品やサービスであればその後の売り上げや消費者からの支持にも影響を与えるため、ニーズの調査などをしっかりと行うことが大切です。
今回紹介したコンセプトを決める手順や実例を参考に、自社に最適なコンセプトを決めていきましょう。
この記事を書いた人
H.F
マーケティング分野を中心に複数のメディアで記事を執筆しているフリーランスのWebライター。
製薬会社での勤務経験もあり、医療・健康関連の記事執筆なども行っています。
自分を一言で表すと:地道でマイペースな努力家