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個人での越境ECの始め方とは?必要準備や手順、成功ポイントまで
2022.02.03
「個人で越境ECを始めてみたい」
「ただ、個人で越境ECを始める方法や手順が分からない……」
ECサイト運営の際に、上記のような悩みを抱える個人事業者の方も多いのではないでしょうか。
近年ではコロナウィルスに伴う自粛の影響により、幅広い業種や事業規模でECサイトへの出店が行われています。越境ECは海外に向けての事業展開になるため、難易度が高いと考えて躊躇するケースも少なくありません。
しかし、越境ECを始める具体的な方法を把握できれば、企業のみならず、個人でも安心してコストをかけずに越境ECを運営することが可能です。
今回は、個人による越境ECの始め方や手順について解説します。売れ筋商品の選定や運営時の成功ポイントまでご紹介しているため、現在越境ECを検討中の場合はぜひご参照ください。
現在、世界各国でECサイトによる商取引が急激に増加しています。
越境ECと聞くと、専門的なノウハウや経験がなければ参入できない印象を抱きますが、現在では海外販売向けのサポートを提供するECプラットフォームも多く存在しているため、はじめての場合でも障壁が低くなっています。
個人や企業といった事業規模を問わず、誰でもローリスクで越境ECに挑戦することが可能です。
個人で越境ECを始めるメリットは以下の通り。
以下ではそれぞれのメリットについて具体的にみていきましょう。
越境ECの大きなメリットは、海外の顧客層にまで商品をアプローチできること。日本国内だけでは、既に同様の商品やサービスを所有する競合も多く存在するため、唯一無二のブランド力を獲得し、市場価値を開拓するのは困難です。
越境ECであれば、東南アジアを始め、欧米や中国、中東といった多彩なマーケットに商品を販売することができます。市場規模や顧客数も大幅に拡大するため、商品の選定によっては、日本国内より売上が増加する可能性が高くなります。
家電製品や衣類、衛生用品など、日本製品の品質の高さは世界的にも認知されており、海外からの旅行者にも人気を博していました。現在ではインバウンドの減少に伴い、日本製品を再度ECサイトで購入する方も急増しています。本格的な越境ECではない場合でも、例えば「たまたま大型モールやオークションサイト等に不要となった商品を出品したところ、海外の人に購入された」というケースも珍しくありません。
事業規模にかかわらず、個人でも海外へ商品を出品すれば、利益を獲得することが可能です。小規模からでも越境ECに参入することで、より幅広いユーザーに商品を購入してもらえます。
個人で越境ECを始める際には、下記のデメリットも把握し、事前に対策を講じることも重要です。
越境ECを展開するに当たって最も大切なのは、販売国の言語や文化を正しく理解することです。
いざ対象国に向けてECサイトを開設しても、テキストの翻訳に少しでも違和感があると、ユーザーは不信感を抱く可能性があります。また商品に優れた魅力があるとしても、それが販売した国の流行や文化と相容れないものだった場合、売上には結びつかないでしょう。
対象国の商取引に関する法律にも対応する必要があります。例えば、EU域内の各国に適用される法令「GDPR」では、個人情報の保護や取り扱いについて厳密な規則を定めています。自身の運営方針が知らぬ間に対象国の規律違反となっている可能性も少なくないため、注意を払いましょう。
越境ECにおけるもうひとつのデメリットは、配送コストや商品代金の高さです。
越境ECの場合、基本的には日本国内から海外に向けて商品発送を行います。そのため販売対象国が遠方であるほど、配送コストが高額となります。
配送コストの高さをカバーするために、配送料をカットして商品代金に上乗せするケースも珍しくありません。しかし総合的なコストは変わらないため、顧客側から見ると、今度は商品代金が高額に感じ、購入を躊躇してしまう可能性もあるでしょう。そのため、配送コストの安い物流を使用することや、需要はあるが現地であまり流通していない商材を見極めることが大切となります。
個人で越境ECを始める場合、下記の方法が想定されます。
ここからは、それぞれの参入方法について具体的におさらいしていきましょう。
ECモール・プラットフォームの集客力に頼らず、自身で越境ECサイトを開設し、運用する方法もあります。販売国や商品ニーズを調査し、自身の手で決済システムや言語対応などを構築する必要があるため、参入ハードルは高くなります。
また上記のような方法ですと、1から集客力を獲得しなければならないため、商品が売れるまでにコストや時間がかかるケースも少なくありません。初めて個人で越境ECに挑戦する場合、プラットフォームのサポートを受けず、ECサイトのみで展開していくには、海外ユーザーの目に留まるための入念な集客施策が必要です。
海外でレンタルサーバーを契約し、ECサイトを構築する方法もあります。
顧客から見た場合、自国で運営されたECサイトだと認識されるため、日本国内で自社サイトを立ち上げるよりも馴染みやすいものに映ります。
しかし、個人でECサイトを開設するには、海外サーバーの契約から実際の顧客対応まで、全て自分で行う必要があるため「コストと時間」を要します。対象国の商取引の基準を把握することが求められるため、現状では最も参入の難しい方法と言えるでしょう。
三つ目は、海外のECモールに現地から出店する方法です。
欧米であれば「Amazon.com」、韓国であれば「Coupang」など、それぞれの地域で幅広い知名度を誇る現地ECモールが存在します。既に大きな市場を保有しているため、ブランド力の低い商品の場合でも、集客に手間取ることなく販売が開始できます。
ただし海外の現地ECモールに現地から出店する場合、高い出品手数料が必要な点や、在庫を現地に運ぶ必要がある点、自身で外国語対応しなければいけない点、現地法人を設立する必要がある点などのデメリットも考慮する必要があります。十分な費用や言語対応力を求められるため、個人で初めて越境ECを展開する場合にはハードルが高いと言えます。
四つ目は、日本国内の事業者向けに越境ECのサービスを提供している、海外ECプラットフォームを利用することです。
日本からの越境ECに対応している現地プラットフォームであれば、日本から申し込みや出店ができるため、手軽に越境EC販売を開始できます。集客や配送に関しての日本語でのサポートも充実しているため、事業者は商品開発やメインの業務に集中することができます。
例えば東南アジア・台湾向けであれば、「Shopee」のように初期費用・維持費用が無料で、リスクを追わずに越境ECに挑戦できるプラットフォームが存在します。国や地域にかかわらず、販売商品や対象国に合わせて最適なECモールを選定できれば、個人で初めて越境ECを展開する際にも、短期間で売上を伸ばすことが可能です。
越境EC対応の現地ECプラットフォームの利用は、現状で最も安全な手法だと言えます。
個人で越境ECを始める手順は、下記の通り。
STEP1:取扱商品のニーズや進出国を調査・選定する
STEP2:法規制や商習慣の確認 STEP3:ECサイトの作成またはECモール出店の準備 STEP4:運営方針、決済方法や配送手段の検討 STEP5:集客施策の検討、販売 |
ここからは、それぞれのSTEPについて詳しく確認していきましょう。
最初に、どの国で自分の商品を販売するかを調査し、選定を行います。販売商品の流通が盛んであったり、人気が高かったりする地域に焦点を合わせてピックアップしていきましょう。
具体的には、地域によって流通の盛んなプラットフォームを確認し、どの商品が売れているのか、競合はいるのかなどをチェックすると良いでしょう。
自分の商品販売に最適な国の候補が定まったら、次にその地域で定められた法規制や規則、関税について確認しましょう。
国や商品ジャンルによっては、日本からの輸出が不可能なケースも多いため、事前のチェックは必須となります。
また関税についても、地域や商品ジャンルによって対象となる金額が異なります。そもそも商品販売が可能なのかを確認することは勿論、関税についても具体的に把握しておきましょう。
輸出制限商品は日本郵便の万国郵便条約などの機関へ問い合わせをすると、カテゴリーを確認することが可能です。関税や輸出手続きなどについては、各地の税関支署や税関相談官室に問い合わせをするか、Webサイト上から確認を行いましょう。
販売国が確定したら、次は実際に商品販売をするための準備をする必要があります。「個人で越境ECを始める方法」の見出しでご紹介した4つの販売方法を参考に、最適なものを検討しましょう。
ECサイトを自身で構築する場合、海外サーバーの契約やWebページ翻訳などの作業は欠かせません。特にプライバシーポリシーや配送ポリシーなどの基本情報の作成では、ある程度販売国の言語に対応している必要があるため、念頭に置いておきましょう。
現地ECプラットフォームの日本越境ECサービスであれば、外国語対応や集客サポートも実施しているため、初めて個人で越境ECに参入する場合は、低リスクで安全にスタートすることが可能です。
商品販売のためのECサイト・プラットフォームの用意ができたら、決済方法や配送方法など、ストア運用に関する詳細を検討していきます。
海外販売向けのECプラットフォームを利用する場合は、上記のサポートも受けられるため、自身で検討する手間を省くことが可能です。自身でECサイトを運営する際は、別途で配送会社や決済システム業者を選定し、契約を行います。
商品販売が可能になれば、実際に顧客からメールなどで注文を受け、決済、郵送までの工程を1つずつ進めていきましょう。商品代金に関するトラブルや、発注段階でのトラブルについても、その都度対応する必要があります。
海外販売向けのECプラットフォームを利用している場合は、トラブルへのサポートも受けられる可能性があるので、慣れない間は相談を行いましょう。
同時に、顧客流入を促すための対策も必要です。SNSやWebサイトなどを活用して、継続的な集客施策を講じましょう。商品の魅力ポイントをおさえつつ、販売国や顧客の文化に合わせたアプローチを検討するのがおすすめです。
個人で越境ECを展開した場合、販売国における売れ筋商品の特徴を正確に把握しておくことが特に大切です。それぞれの国に合わせて最適な売れ筋商品の選定ができれば、着実に売上を伸ばすことが可能となります。
以下では、越境ECにおける売れ筋商品の選定方法についてご紹介します。
コロナ禍によるインバウンドの減少はあるものの、過去のユーザーはECサイトからの購入に移行しただけで、その人数やニーズに大きな相違はありません。そのため過去のインバウンドから、日本国内で購入率の高い商品ジャンルを調査することも重要になります。
海外ユーザーから特に人気のある日本製品を見極めて、自身で用意が可能なものに焦点をあてつつ、越境ECに取り入れていきましょう。
それぞれの国や地域によって、商品の流行やトレンドは異なります。販売を検討中の国で現在どのような商品が売れているのか、正しく把握する必要があります。
アジア圏の大まかな売れ筋としては、ヘアケアやスキンケア用品などの美容化粧品に需要が高まる傾向があります。他には、お菓子・健康食品・サプリのような食材も盛んに売買されています。
また東南アジアでは、日本アニメーションや漫画に関連する市場が盛んであり、関連グッズやフィギュアなどの需要も安定しています。
欧米諸国では、従来の日本文化や伝統に関連する商品の売買が盛んに行われています。
また近年の動画配信サービスの普及に伴い、東南アジアと同様に日本アニメのグッズや漫画、ゲーム、おもちゃなどの商材も人気を博しています。ファッションでいえば、現在のところレディースファッションに関する商材が売上を伸ばしています。
越境ECを始める場合、成功させるためのポイントを把握した上で最適な運用を行う必要があります。
以下では、個人で越境ECを成功させるポイントやコツについてご紹介します。
販売国の言語や流通体制の整備は、越境EC立上げの基盤でありながら、最も疎かにしてはいけないポイントです。
ECサイトに訪れた新規ユーザーが商品に興味を示していても、その紹介ページの翻訳が不自然であれば、大きく購買意欲を下げてしまうでしょう。
それぞれの国や地域では、導入数の多い決済システムや配送サービスなども異なります。もし販売国で支持の少ない決済システムなどを導入した場合、購入までの障壁になる可能性が高まります。
個人でECサイトを開設する場合は、サポートを受けることが難しいため特に注意を払いましょう。「Shopee」といった日本からの海外販売向けサービスを提供している現地ECプラットフォームであれば、上記の問題に関するサポートも充実しているため、初めての越境EC参入にはおすすめです。
どのような手法を用いる場合でも、ブランドや商品に関するプロモーションを継続して行う必要があります。
たとえ日本国内で有名な商材でも、海外では認知度が低いケースは珍しくありません。InstagramやTwitter、TikTokなどのSNSを活用して、販売国に向けたアプローチを行いましょう。また、海外向けにオウンドメディアを構築して、ECサイトへの導線を構築することも有効です。
また、それぞれの国によって支持されるSNSや検索エンジンが異なるため、事前に調査をしておきましょう。
商品の流行や支持率は一定ではなく、短ければ数年単位での変動が生じます。そのため越境ECでは、販売国における売れ筋商品の動向を定期的に確認することも大切です。
例えばアパレル商品では、季節やトレンドによって、サイズ感から生地感、デザインに至るまで流動的な変化があります。
大きな流れからみた変化は乏しい場合でも、同じジャンル内での機微があれば、率先して商品販売に取り入れていきましょう。
今回は、個人における越境ECの始め方やメリット、成功のコツまで幅広くまとめていきました。
越境EC市場は今後も更に拡大し、事業規模にかかわらず、誰でも参入できるような環境整備がなされます。現在でも、個人から気軽に自分の商品を海外に向けて発信することが可能です。
近年では、越境ECに強いECプラットフォームも数多く存在しています。東南アジア・台湾の領域であれば「Shopee」といったように、それぞれの国や地域に合わせてサポートを実施するプラットフォームが存在するため、初めて個人で越境ECに参入する場合でも、安心かつ安全な運用が可能です。
ぜひ今回の内容をご参照いただき、自身の運用環境に合わせて販売国や手法を選定した上で、個人での越境ECをスムーズに進めていきましょう。
この記事を書いた人
木村 祐亮(きむら ゆうすけ)
主にECプラットフォーム・金融関係の記事を執筆しているフリーランスWebライター。アナログイラスト制作やネットショップ運営も行う。
自分を一言で表すと:マイペースな不器用