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加速する円安がメリットに、海外販売に有利な市場とは?
2024.06.27
加速する円安により、国内市場向けのビジネスに限界を感じていませんか?
それなら海外市場に目を向けてみてはいかがでしょう。国内市場では不利に働いていた円安が、海外販売では逆にメリットに置き換わります。
円安の今こそ、海外販売のチャンス。改めてその理由やチャンスをどう活用していけばよいのか、本記事では解説していきます。
円安は海外販売に有利だと言われます。その理由は何なのでしょうか?
円安が海外販売にメリットとなる理由をお伝えする前に、まずは国内販売において円安がなぜデメリットなのか解説します。
現在の日本では、商品の生産や販売活動は多くの輸入資源により成り立っています。国内で供給できない燃料資源、工業原料、食材などのさまざまな資源を、海外からの輸入に頼っているのです。
ひとつの商品を製造するまでに、さまざまな原材料が必要となりますが、原材料を作るための原油や鉄、アルミなどは、円安になると価格が高騰します。
このように、円安が進むと海外から輸入していた資源や原材料費が上昇するのです。
周囲を海に囲まれた島国の日本では、輸入には航空機や船などの利用が不可欠です。円安による原油高が続くと、航空機や船を動かすためのコストも国際輸送費も値上がりします。
さらに、日本はエネルギー大量消費国でありながら電気やガスなどのエネルギーの大半は輸入に頼っているため、円安で電気代やガス代も高騰します。
こうした輸送費用やエネルギー代の高騰は、国内での商品製造や販売活動において大きな負担となります。
このように円安が続くと、海外からの供給に頼っている原料やエネルギーの輸入コストが増大します。その結果として、仕入れ値や生産コストが上昇してしまいます。
原材料や部品の生産の大部分を海外からの供給に頼っている商品では、コストの上昇により収益が悪化するでしょう。
次に、海外販売において円安はどのような働きをするのか見ていきます。
輸入に不利だった円安ですが、輸出ではメリットになる場面が増えます。
円安が進むと、海外市場においては日本から輸出された商品の価格が安くなります。そのため、海外市場において日本からの輸出商品の価格競争力が高まるのです。
例えば自動車産業など、輸出の割合の多い産業では円安により大きな利益をあげたというニュースも珍しくありません。
海外市場で割安になるのは、商品価格だけではありません。海外市場からみた日本国内の生産コストも、円安で相対的に安くなります。
日本の労働力を利用した商品生産やビジネスモデルは、円安の状況では有利に働きます。
海外販売における売上を現地の通貨で保有している企業は、円に換算した時に為替差益が発生します。
円安が進むと海外通貨の価値が上昇し、為替差益によりさらに利益が増加する可能性があるのです。
ここまでの解説で円安が輸出ビジネスに有利に働く理由はお分かりいただけたと思いますが、それでは実際の海外販売市場はどうなのでしょうか?
財務省が2024年5月に発表した2024年4月の貿易統計(速報)(出典:財務省「報道発表 令和6年4月分貿易統計(速報)の概要」)によると、輸出は前年同月比8.3%増の8兆 9807億円を記録。日本からの輸出は、前年比で5ヶ月連続増加しました。
また、東南アジア・台湾市場において最大級の越境ECモールを展開するShopeeにおいても、日本からの新規セラー登録数、出品商品数、販売規模に関して、すべて前年をはるかに上回るスピードで増加しました。
円安傾向が続く中で、日本からの輸出商品の価格競争力が上がり、海外への販売を意識する企業が増えた結果、日本越境セラー数、出品商品数、販売規模が前年実績を大きく上回ったとのこと。
為替介入を受けても止まらない、歴史的な円安傾向。これをビジネスチャンスと捉える企業も増えており、日本からの海外販売はすでに大きく盛り上がっているようです。
円安になると、海外販売では高額商品がより売れやすくなります。その分かりやすい例が自動車です。
財務省が2024年5月に発表した2024年4月の貿易統計(速報)によると、日本からの輸出品目で目立った伸び率を示したのが自動車でした。(金額伸び率 + 17.8%)
また、中古車関連事業においても円安は有利に働いており、日本経済新聞(出典:日本経済新聞「円安の追い風、中古車快走 大型店出店競い最高益も」)によると海外輸出の増加などを背景に過去最高益を達成する見込みの企業が相次いでいます。
例えば、中古車の海外輸出を手がけるオプティマスグループは2024年3月期の純利益が最高益を記録し、前期比3割増となりました。また南アジア向け輸出も手掛けるカーチスホールディングスは3期ぶりの黒字を見込んでいるようです。
円安による海外販売の追い風は、自動車だけでなく消費サイクルが早い一般消費財にも当てはまります。円安では為替が海外消費者に有利に働くため、高額商品になればなるほど割安感が高まります。円安が進めば進むほど、これまで手が出しにくかった高額商品がお得に感じられるでしょう。
そのため、高額商品の海外販売は円安の時こそ有利であると言えます。
円安の状況下では、高額でない商品であっても海外販売では価格競争力が高まります。そのため、以前は「日本に来て購入した方が安い」と感じられた商品も、大幅な円安が続く現在では海外から購入しても割安感があります。
品質基準が高い日本の商品は、そもそも海外消費者からの信頼が厚いという特徴があります。さらに昨今の円安で価格競争力も高まっているため、海外販売において大きなチャンスが到来していると言えるでしょう。
注意:
為替状況に関わらず、大きな金額が動く高額商品の取り扱いには一定のリスクが伴います。 (購買後の商品すり替えを目的とした、キャンセル率の上昇など) 実際に輸出ビジネスを開始する際には、高額商品販売のリスクの認識や対策を充分行ってください。 |
周囲を海に囲まれた島国である日本では、海外販売を行う際には、商品配送で必ず航空機か船を利用することになります。
円安で価格競争力が高まっているとはいえ、海外の消費者へ商品を届けるための国際送料は収益率を左右する大きなポイントとなります。
海外販売の手段としてよく利用される越境ECにおいては、商品配送でのスピード感も大切。そのため、商品発送には航空機を使った配送が選ばれることがほとんどですが、配送先の距離が遠くなればなるほど送料がかさんでしまいます。
どんなビジネスにおいても、収益の最大化にはコストを最小限に抑えるのが鉄則です。商品価値に直接影響を及ぼさない国際送料は、できるだけ抑えたいところ。
円安のメリットを享受しながら国際送料を抑えるための本記事のおすすめは、日本から比較的近い東南アジア市場への海外販売。以前は発展途上国のイメージも強かった東南アジア市場ですが、最近は経済発展が続き消費者の購買力も高まっています。シンガポールなど、日本よりも購買力の高い国も目立つようになりました。
経済発展が続く東南アジア市場で、2015年から越境ECプラットフォームを展開するShopeeでは、市場最大規模のユーザー数を抱えています。ユーザー数の多さから、日本の大手企業も積極的に進出しており、東南アジア市場への進出を考える時に見逃すことのできない存在になっています。
また、BtoBとCtoCの融合型プラットフォームであるShopeeでは、個人の出店にも柔軟に対応できることもポイントです。出店に伴う初期費用はかからず気軽に始められる越境ECなら、まずは小さく海外販売を開始することもできます。円安により海外販売のチャンスが訪れている今、波に乗ってShopeeで越境ECを始めてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
Natsuko Sakurai
2拠点生活フリーランス。ロンドン、オランダ、スペイン 3ヵ国での在住や現地企業での勤務経験があり、帰国後も海外ビジネスに関わり続けています。コロナ禍をきっかけに、海外にしかオフィスのない現地企業との国際リモートワークが始まったりと、たえず働き方は進化中。